早期退職からの脱サラ農業ガイドです 酷暑を逆手にトマトで儲ける!

昨日スーパーに買い出しに出掛けてミニトマトを買おうと思ったら2度見してしまいました。

いつもは12個くらい入って1パック198円くらいのものが、298円になってました。

トマトの値段が高い理由は「酷暑のため」だけではありません。

「2024年問題」が深く絡んでいて、今後も夏場のトマトの高値傾向は続くようです。

やり方によっては、夏場のトマト栽培は儲かる農業の筆頭になるかも知れません。

どうぞ最後までお付き合い下さい。

目次

2024年6月~9月のトマトの価格推移

2024年の夏は、トマトの価格が大きく変動しました。以下は、東京・大田市場におけるトマトの相対取引による卸値の「高値の平均」の推移です。

  • 6月: 540円/キロ
  • 7月: 621円/キロ
  • 8月: 810円/キロ
  • 9月: 843円/キロ(8月30日~9月3日)

この価格高騰の背景には、記録的な猛暑や国内生産量の減少、輸入依存度の高さなどが影響しています。

特に、2024年の夏は記録的な猛暑となり、トマトの生育に大きな影響を与えました。

トマトは気温が35度以上になると成長が止まり、そもそも花がつかなかったり(着果不安定)、実が割れてしまったり(裂果)、大きく育たないまま熟してしまうことがあります。

もともと南米のアンデス原産の涼しいところが大好きな野菜ですから暑さには弱いんです。

そのため、商品として出荷できるトマトの量が大幅に減少し、需給が逼迫してるんです。

今後も気候変動の影響が続く限り、トマトの価格は高止まりする可能性がありますね。

でも、原因はそれだけではないんですよ!

2024年問題の影響

さて都道府県別の夏秋期(7月~11月)のトマト生産ランキングについてご紹介しますね。

  1. 北海道
  2. 福島県
  3. 茨城県
  4. 愛知県
  5. 熊本県

通年では熊本県が首位なのですが、先ほどお話した通りトマトは涼しい気候に適した野菜ですので、この時期に限った出荷量では北海道が全国一のシェアを誇ります。

その北海道産のトマトは高温障害の他に「2024年問題」によってトラックドライバー不足が原因の品薄になり、高値傾向が続く原因となっているようです。

この問題に対して、物流業界や政府は様々な対策を検討していますが、解決には時間がかかるとされています。

露地栽培農家・家庭菜園愛好家が取れる高温障害対策

一般的に露地でトマトを栽培するときに取り得る高温障害対策は以下の通りです。

  1. マルチングの活用:
    • 土壌表面をマルチング(敷き藁やプラスチックフィルムなどで覆う)することで、土壌の温度上昇を抑え、水分の蒸発を防ぐことができます。
  2. 風通しの良い配置:
    • 植え付けの際に、風通しの良い配置を心がけることで、温度の上昇を抑え、病害虫の発生を防ぐことができます。
  3. 適切な剪定:
    • トマトの葉や枝を適切に剪定することで、風通しを良くし、蒸散作用を促進します。これにより、植物全体の温度を下げる効果があります。
  4. 灌水のタイミング:
    • 早朝や夕方など、気温が比較的低い時間帯に灌水を行うことで、水分の蒸発を抑え、効率的に水分を供給することができます。
  5. 有機質肥料の使用:
    • 有機質肥料を使用することで、土壌の保水性を高め、根域の温度上昇を抑えることができます。また、土壌の微生物活性を高めることで、植物の健康を維持します。

ご覧の通り、一覧にある内容は教科書に書いてある植付や栽培管理の基本にあることばかりですから、プロの農家さんでも家庭菜園されている方も既に実施済みのことばかりだろうと思います。

つまり、ここまでの暑さが続くと日除けの設置などで温度管理が可能な施設栽培でない限り、安定した収量を確保することは難しいということです。

トマトの高温障害対策

ハウス栽培では露地栽培では難しい温度管理などができます。

  1. 遮光・遮熱ネットの設置:
    • 露地栽培やハウス栽培で、遮光ネットや遮熱フィルムを使用することで、直射日光を遮り、温度の上昇を抑えることができます。特に、遮光率50%程度の製品が適しています。
  2. 通風の確保:
    • ハウス内や栽培エリアの通風を確保することで、温度の上昇を抑え、蒸散作用を促進します。換気扇や天窓、側窓を活用して空気の流れを良くすることが重要です。
  3. 水分管理:
    • 高温条件下では蒸散作用が活発になるため、適切な灌水管理が必要です。土壌水分センサーを活用して、適切な水分状態を維持することが効果的です。また、マルチングを行うことで土壌の水分を保持し、根域の温度上昇を抑えることができます。
  4. 養分管理:
    • 高温条件下では、トマトの生育が阻害され、養分吸収が低下する可能性があります。適切な窒素、カルシウム、リン酸、カリウムの管理を行い、バランスの取れた養分状態を維持することが重要です。

施設栽培には当然のことながら先行投資が必要です。

更に光合成を活発にするために毎年又は2年に1回は天井のビニールの張り替えが必要です。

また温度管理をするためには、追加コストが必要となります。

もともと生産コストが高いハウス栽培のトマトですから露地栽培のトマトより価格が安くなることは考えられません。

他に何か対策がないか、考えてみましょう。

世界でトマトの生産が多い国ベスト5

世界ではどのような暑さ対策をしているのかを調べる前に、生産が多い国をチェックしてたら以下のような驚きの結果となりました。

  1. 中国
    • 生産量: 約6,824万トン
  2. インド
    • 生産量: 約2,069万トン
  3. トルコ
    • 生産量: 約1,300万トン
  4. アメリカ
    • 生産量: 約1,047万トン
  5. エジプト
    • 生産量: 約625万トン

なんと1位は中国です!

中国料理にトマトを使ったものは「トマトと卵の炒めもの(西紅柿炒鶏蛋)」は知ってましたが、一般的ではないので驚きですね。

中国で生産されるトマトは、主に国内消費に充てられていますが、特にトマト加工品である「トマトペースト」は日本を含む海外へも輸出されているそうです。

確かに日本で1番売れているハウス食品の「咖喱屋ハヤシ」のホームページを見ると、「トマトペースト[トマト(中国産、ポルトガル産)]」と記載がありますから、間違いなく中国は日本へトマト加工品を輸出しているんですね。

それよりも驚きは2位のインドと5位のエジプトです。

確かにカレーに入ってそうですが、暑い国々でトマトが採れているということは何かヒントがありそうですね。

暑い気候でもトマトを育てることは可能です。

インドやエジプトでは「ヒートマスター」という耐暑性のあるトマト品種が選ばれているそうです。

名前からして暑さに強そうですね。

この品種は加工専用かと思いきや、ジューシーでサラダなどの生食にも合うということです。

実は日本でも暑さに強い品種が開発されております。

桃太郎ネクスト:草勢が旺盛で、高温による「肩部黄変果」や日照不足による「すじ腐れ果」、高温や乾燥が原因の「軟果」などの生理障害果の発生が少ない品種です。

TY千果:ミニトマトで、高温期の着果も安定し、裂果の発生やヘタどれが少ない品種です。

これらの品種を選んで、適切な生育管理が出来れば、高温期でも安定した収量を確保できるかも知れないですね。

なおエジプトでは98%が露地栽培で、更に2期作が盛んだそうです。

ナス科野菜の連作障害対策も気になりますが、温暖な気候を利用して露地で2期作とは驚きですね。

日本の夏の酷暑化に対抗する手段として、来シーズンの作付けをご検討くださいね。

夏秋期シェアトップの北海道産トマトが2024年問題の影響で品薄・高値傾向が今後も継続するということは、つまり、それ以外の都市部近郊での生産者にとっては、この時期のトマトの酷暑対策をクリアすれば「儲かる農業」への可能性が膨らむことを意味します。

中山間地の比較的冷涼な場所の活用など、どうぞご検討ください。

インドやエジプトが出来ることが、日本で出来ない訳がありません。

最後までご覧頂き有難うございました。

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