早期退職からの脱サラ農業ガイドです 儲かる「オクラ」、究極の台風対策

2024年8月、大型の台風10号が九州に上陸し、オクラ農家に大きな被害が出ました。

被害に遭われた皆さんにはお見舞い申し上げます。

こちらの記事では、大型・猛烈な台風接近時に「オクラ」の生産者が取るべき対応を含めて、

少しでも多くオクラで儲けられる方法について紹介しています。

私が実践したオクラの台風対策は・・・台風接近前に短いものや花も含めて『全採り』あるのみです!

もう一つは残暑の厳しさを逆手に取って種まき時期を遅らせる作戦です。

年々残暑は厳しくなる一方ですから、通常5月頃に行うオクラの種まきを7月にずらしてみてはいかがですか?

台風の影響で競合が減って単価が高くなった時期に出荷できる可能性があります。

詳しくは目次から「儲かるオクラ栽培に必要なことは『ひと工夫』です」をご参照ください

目次

オクラとは?

オクラは漢字ではどう書くかご存知ですか? オクラの英語での呼び名はご存知でしょうか?

まずはオクラに関する思わず「へぇ~」と言いたくなるトリビアをご紹介します。

オクラは漢字では「陸蓮根(りくれんこん)」「秋葵」と書くそうです。

その切り口の形状は確かに「蓮根」に似ており、徳川家の「葵」の紋章にも似ていますね。

では、英語での呼び名はご存知でしょうか?

答えは…なんと「OKRA」です。

それではアメリカの「OKRA」の主要産地がオクラホマ州だったりするのでしょうか?

答えは後ほどお伝えします。

食材としてのオクラの魅力って?

オクラは生やサッと湯がいてサラダにしたり、炒め物やスープ、カレーに加えたりと、様々な料理に使用することができます。そのユニークな食感と風味は、多くの料理を引き立てくれますね。

また、オクラは低カロリーでありながら満腹感を与えるため、ダイエット中の方にとって理想的な食材です。食欲がないときでも納豆や山芋などのネバネバ系食品と一緒に麵つゆと混ぜて、そばや素麺にかければ、より美味しく食べられます。

さらに、茹でて小さく刻んだオクラは常備菜としてキュウリやナスなどと一緒に浅漬けにして利用することができます。

赤色や星形、丸い形をした食感の良い品種など、オクラは飲食店のお客さんも好んで使う食材なので、ニーズを満たすことが出来れば大量購入が期待できますよ。

農作物としてのオクラの魅力は?

オクラはアフリカのエチオピアやエジプトが原産国とされており、夏の暑さに強いため温暖化の影響を受けずに今後も安定した収穫が見込めます。

都道府県別の収穫量を見てみると日本の中でも”南国”をイメージさせる3県で全体の7割近くを生産されています。

これらのデータは令和2年(2020年)のものです。

鹿児島県: 5,210t (全国シェア43.4%)
高知県: 2,050t (全国シェア17.1%)
沖縄県: 1,060t (全国シェア8.8%)
熊本県: 806t (全国シェア6.7%)
福岡県: 390t (全国シェア3.3%)
宮崎県: 316t (全国シェア2.6%)
香川県: 319t (全国シェア2.7%)
愛知県: 255t (全国シェア2.1%)
徳島県: 235t (全国シェア2.0%)
群馬県: 234t (全国シェア2.0%)

全国のオクラの生産量の合計は12,000tで、最も多くのオクラを生産している鹿児島県の全国シェアは43.4%となっています。

特に五角形の切り口を持つオクラは、夏場になると1日に朝夕2回の収穫が必要となるほど成長が旺盛で、栽培方法も難しくはないです。

そのため、5反(5000㎡)の広さの畑で1シーズンに百万円単位の売上が上がることもあります。

特別な農機具や機械が必要ないため、設備投資を抑えて高収入を得る新規就農者にもお薦めの野菜です。

オクラ生産のデメリットとは?

収穫が始まる6月末頃はオクラの高さが膝ほどしかないため、しゃがんで作業する必要があり、膝や腰に負担がかかります。

また8月頃には2mほどの高さまで成長するため、高いところの実を収穫するのは大変です。

オクラの実には小さな棘があり、収穫作業を続けていると、手袋をしていても指先が痛くなります。

オクラの花粉や葉・茎に対してアレルギー症状?がある人は、防護服を着用して作業する必要がありますが、暑い中での作業は非常に大変です。

そして、たくさんの実がなり続けるため、収穫や包装作業に追われ、また乾燥に弱く実が固くなるため、潅水作業も随時必要となります。

またオクラにはオクラカイガラムシなどの害虫が発生するため、適切な農薬散布が必要です。

他にはオクラの背が高くなることで、台風など強風の際には倒れてしまい、全滅することもあります。

更にオクラは参入障壁が低いため普通に生育すると出荷ピークの8月には価格が暴落します。

儲かるオクラ栽培に必要なことは・・・『ひと工夫』です

種まき時期の前倒し

「オクラは儲かると聞いていたのに特に8月以降は単価が安くても売れ残る」とお嘆きの皆さん、

「他の人と同じ品種を同じタイミングで種まきをして同じように収穫・出荷」してたら儲かりません。

デメリットを考慮すると…

「単価が高い7月末までにどれだけの量を出荷できるかが勝負の分かれ道」です!

一つの選択肢は「施設栽培」、いわゆるビニールハウスでの栽培を始めることです。

ただオクラは「設備投資がいらない」というのが最大の魅力なのでこれは後回しですね。

そうと決まれば通常5月上旬に行う種まきを前倒しすれば良いですね。

オクラの種が発芽しやすい温度は20℃~30℃ですから

ただ種まき時期を早めるだけでは発芽率が悪くなり逆効果になりますよ。

皆さんの知恵の出しどころですよ。

  • 種まき後に不織布を被せたり…
  • 施設栽培農家やブドウ農家からもらったビニールでトンネルを用意したり…
  • 苗を室内で育てて畑に植替えたり…色々な作戦はあります

「苗」作戦を丸オクラで私は実践して、6月中旬から通常の1.5~2倍のご祝儀相場で完売してました。

また欠株減らすため多めに種を蒔き、ネキリムシ対策も忘れずに対策しましょう!

収穫でも「ひと工夫」できます。

通常10㎝程度まで成長した実を収穫しますが、7月以降は成長が早いため1日2回収穫が必要ですが…

たまに1日1回にして半分は通常のサイズで、残り半分は5㎝程度の若採りのオクラで収穫しました。

この若採りのオクラの美味しさをお客さんに伝えることが出来れば大成功です。

通常サイズのものと比較にならないくらい実が柔らかく食感が優しいんです。

丸オクラの魅力

丸オクラは15㎝ほどのサイズになっても筋張らずに食べられるのが一般的なメリットですね。

でも丸オクラの本当の魅力は食べると分かる若採りの優しい滑らかな食感なんです!

本当に他のオクラが食べられなくなりますよ。生産者の特権ですね。

丸オクラの美味しさは抜群ですが収量が角オクラと比べると相当少ないのに単価が同じなのが弱点!

ですから固定客をガッチリ確保するまでは丸オクラの割合は抑えた方が収入が安定しますよ。

オクラの台風対策は・・・全採りあるのみです

大型台風の直撃を受けるとオクラは倒伏してしまい壊滅的な被害となります。

家庭菜園であれば防風ネットや支柱が有効です。

しかし大規模農園ではコスト的にも労力的にも対応が難しいです。

台風最接近の日にはお客さんもお店に買いに来ることはありません。

苗を植え替えたオクラは台風が直撃すると確実に倒伏します。

早めに気持ちを切り替えて、オクラはそれまでに売り切ってしまいましょう。

採れるオクラの実は小さなものも含めて全て収穫して、小さなものはポップやラベルで「台風のため今シーズンの最終出荷です!貴重なベビーオクラをどうぞ!」と宣伝してみて下さい

通常は包装するときに軸を短めにカットする工程があると思いますが、最終日、私は「そのまま」出荷してました。

それでも1袋200円という通常の倍の値段で売って、同情票の効果で即時完売したことがありますよ。

ついでに「オクラの花」も収穫して売ってみてはいかがですか?

花オクラは品種改良されて美味しい大きい花を咲かせますが、普通のオクラの花も十分食用になり、サッと茹でて素麺の上に乗せると綺麗です。オクラの花を見たことのないお客さんもいらっしゃるでしょう。

文字通り「売り場に花を添えて」宣伝にも一役買ってくれると思いますよ。

大型台風の到来がオクラの全滅を意味することを分かっているお客さんはゼロです。

是非、売り場に出て「オクラの最終出荷ですよ」とお客さんに声を掛けてみて下さいましょう。

多少高い値段でも「最終出荷」というパワーワードで売れます。

ポップやラベルについてはこちらにまとめてますので、是非ご覧くださいね。

台風対策はこれで決まりです。見事完売して有終の美を飾ってください。

余裕があれば一部でもオクラを腰の高さで「切りもどし」して風の抵抗を抑えてみて下さい。

運良く被害が小さく、わき芽が育ってくれた場合には収穫できる喜びを嚙み締められますよ。

究極の台風対策!種まきを8月に?

競合する出荷者が台風で脱落するため「台風が来たら本気出す」というやり方もありますよ。

一部のキュウリ露地農家さんがやっているように残暑の厳しさを逆手にとって、通常5月頃の種まきを夏にしてみてはいかがですか?

7月上旬にずらすと、地域によっては上手く行くかも知れないです。

オクラは25℃~30℃で発芽率が高くなりますから、8月種まきでも発芽には好都合です!

しかし種まきから収穫まで60~90日間を要する成長期に「25℃の気温」が維持できるかどうかです。

8月種まきだと10~11月の収穫開始、さすがに無理ですが、7月の種まきで9~10月から収穫開始は可能です。

いつまで収穫できるか問題ですが、残暑が厳しい昨今ならチャレンジする価値ありませんか?

収量が少ない丸オクラよりは「角オクラ」の方が成功率は上がりそうです。

但し施設栽培やってるオクラ農家さんもいることをお忘れなく。

しっかり市場調査をされた上で、10月のオクラはいくらくらいで売れているか確認してみて下さい。

どうぞ小規模栽培から『自己責任』で挑戦してみて下さいね!

包装・出荷時のひと工夫

皆さんの収穫したオクラを2つのタイプに選別し「A:虫食いや斑点が全くないもの」と「B:それ以外のもの」として各々を包装して産直市場に出荷してみませんか?

私はAは緑色のテープで、Bは赤色のテープで封をして10本前後を一袋に入れて「Aは120円、Bは80円」というように価格に差をつけることで「見た目重視のお客さんにはA」を、「安さ重視のお客さんにはB」ということで差別化して売上アップを目指しました。

パックシーラーを2つ持っておく必要があり、検品・包装は手間が掛かりますが、売れ残りを減らす効果はありましたし、売れ行きが良ければ10円ずつ値上げしても面白いですよね。

まだ取り組んだことのない方にはお薦めです。

閑話休題 答え合わせ アメリカのオクラの主要産地ですが…

さて、アメリカのオクラの主要産地についてですが、実はオクラホマ州ではなく、ニューオーリンズがあるルイジアナ州などの暖かい南部の州で多く生産されています。

「ガンボ」という、トマトやシーフードとオクラをスパイスと共に煮込んだ料理がニューオーリンズの名物として有名で、「ジャンバラヤ」というカントリーミュージックの歌詞にも登場します。

山形の名物「だし(野菜ソース)」について

「暑さで食欲がないときのお薦めを教えて!」というコメントをSNSで見ました。

仕事で東北へ行く機会があった自分のお薦めの1品をご紹介しますね。

夏野菜をサッパリ食べられますから暑いこの時期にピッタリですよ!

「だし」は、暑い暑い山形県の郷土料理で、夏の定番料理として知られています。

キュウリやナス、オクラ、大葉などの夏野菜を細かく刻み、醤油で味付けしたものです。

暑さで食欲がなくなる時期に、夏野菜と香味野菜を刻んで和え、味付けしたのが「だし」です。

「だし」のレシピは“100軒の家があれば100種類の味”があるといわれていて、非常に多彩です。

YouTuberの「谷やん/谷崎鷹人」さんが「【不可抗力】信じられないくらいお米が胃に入る野菜ソースがコチラです」というタイトルで500万回超えの再生回数を記録されてる美味しいレシピを紹介されててお薦めです。一度ご覧頂けると自分でも作ってみたくなると思いますよ。

私の定番は「キュウリ」「ナス」「山芋」「オクラ」「メカブ」のネバネバオールスターズです。

これを手抜きで私は「めんつゆ」と「ポン酢」1:1で1日漬け込みます!

ご飯へのトッピングにする時には「卵」や「ひきわり納豆」を加えると美味しいですよ。

「だし」は2~3日は冷蔵庫で保存できます。

作り置き出来ますし、ご飯や素麺、冷しゃぶうどんや冷奴などにかけても美味しいですよ!

スーパーや通販で完成品も買うことが出来ますからお試ししてみて下さいね。

飲食店のお客さんとお話する機会があれば「山形のだし」について紹介してみると、もしかすると「お通し」や「しめのご飯・そうめん」用にまとめ買い頂けるかも知れませんよ。

駄目で元々でお話してみる価値があるかも知れません。

以上、オクラに関する特集でした。

皆さんのお役に立ててたら嬉しいです。

最後までご覧頂き有難うございました。


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