「白松がモナカ」や「萩の月」―仙台の街を歩けば目にするこれらの看板には、仙台が長い歴史の中で築いてきた和菓子文化の豊かさが詰まっていますね。
その一方で、近年は時代の変化や消費者の嗜好の多様化によって、老舗和菓子店が厳しい経営環境に直面するケースも増えています。
先日、地元で愛され続けた「壽三色最中本舗」が自己破産を申請したというニュースがありました。
東京商工リサーチによると、2022年3月期時点の負債総額は約4億7500万円ということです。
この出来事は、仙台が誇る和菓子文化を未来へ継承するために何が必要なのか、改めて考えるきっかけとなります。
この記事では、壽三色最中本舗の歴史と経緯、仙台に根付く和菓子文化の背景、そしてこの文化を次世代へ引き継ぐためのアイデアを考えてみたいと思います。
伝統を守りながらも革新が求められる現代において、地域の誇りとも言える和菓子文化の可能性を一緒に見つめ直してみましょう。
壽三色最中本舗の自己破産
仙台では和菓子文化が人々の生活に溶け込み、地元の素材や歴史的背景を活かした菓子作りが受け継がれています。
その一方で、伝統の灯を守り続けることがいかに困難であるかを実感させる出来事が起きました。
宮城県名取市に所在する老舗和菓子店「壽三色最中本舗」が、2025年3月31日をもって事業を停止し、自己破産を申請しました。
このニュースは、地元の銘菓「三色最中」のファンだけでなく、仙台の和菓子文化を愛する多くの人々に衝撃を与えました。
「壽三色最中本舗」は1931年に創業し、仙台銘菓として「三色最中」や羊羹、ゆべしといった和菓子を製造。
1992年3月期には年間約7億9500万円の売上を記録していました。
しかし、近年では消費者の嗜好の変化、大手洋菓子チェーンの進出、新型コロナウイルスの影響による来客減少、さらに原材料費の高騰といった要因が重なり、業績が著しく悪化しました。
コロナ禍収束後も需要が回復せず、2021年3月期の売上高は年間約2億1000万円に留まり、事業継続が困難となった結果、今回の決断に至ったのです。
東京商工リサーチによると、2022年3月期時点の負債総額は約4億7500万円で、帝国データバンクが伝えるところによると負債総額は現在調査中とのことです。
Yahoo!ニュースのコメント欄を見ても「三色最中だけは何とか残してもらいたい」というような意見が多く、たくさんのファンがいたことが伺えます。
仙台の和菓子文化と伊達政宗
仙台は、和菓子の生産が盛んな地域として知られています。その背景には、仙台藩主・伊達政宗の文化的影響が大きく関与しています。
政宗は茶道への深い造詣を持ち、茶の湯文化の発展を推進しました。
この影響で、茶席に供される精緻で美しい和菓子の需要が増え、和菓子文化が仙台の地域社会に深く根付いていきました。
また「ずんだ餅」など地元の素材を活かした菓子がその象徴で、伝統と郷土の誇りが詰まった一品として親しまれています。
また、「賣茶翁」や「玉澤総本店」といった老舗和菓子店も存在し、茶道に適した和菓子や地元の風味を活かした銘菓を提供しています。これらのお店は仙台和菓子文化の象徴として、多くの人々に愛され続けています。
新年のTVでニュースにもなる仙台のお茶屋さん「井ケ田」は、初売りで特に有名ですね。
毎年1月2日に行われる初売りでは、「豪華景品入りお茶箱」や「紅白喜久福」などの特典が話題を呼び、多くの人々が訪れます。
この初売りは昭和10年から始まり、仙台の新年の風物詩として定着していますから、お茶と仙台の結びつきの強さの表れですよね。
地元和菓子店の厳しい現状
しかし、近年では仙台市や大崎市などの地域に根差した和菓子店が、経営難により閉店を余儀なくされる事例も報じられています。
壽三色最中本舗の場合と同様に、原材料費の高騰や消費者の嗜好変化による打撃が主な要因となっています。
ところで高価な和菓子は自宅用に買うというよりは、友人・知人を訪ねる際の手土産という印象がありませんか?
大事な方のためには多少高くても百貨店の地下売り場や駅のお土産コーナーで買っていたという経験、そしてその一方で自分用のおやつ用の和菓子は、スーパーで買った羊羹やお饅頭など手軽な価格帯のものを選ぶ傾向があるかと思います。その結果、人と会う機会が減ったコロナ禍以降の生活習慣の変化により、手土産を買う機会が減ったことが和菓子業界へ与えた影響は無視できないものと考えます。
また、洋菓子や他のスイーツの人気が高まる中で、競争の激化も和菓子業界の課題となっています。
まとめ 和菓子文化を未来に繋げるために
仙台の和菓子文化を次世代へ継承するためには、地域社会と観光業との連携が重要です。例えば、地元の観光資源を活用したプロモーション活動や、若い世代向けの商品開発を進めることで、和菓子文化の魅力を広く伝えることができます。
観光客向けの和菓子作り体験イベントや、SNSを活用した情報発信も効果的な手段となるでしょう。
さらに、地元の素材を活かした新商品の開発や、伝統的な技術を若い世代に伝える取り組みも重要です。
これにより、和菓子文化の持続可能性を高め、地域経済への貢献を果たすことができます。
壽三色最中本舗の破綻は、仙台の和菓子文化において残念な出来事であり、業界全体で持続可能な取り組みが求められている現状を示しています。
伝統的な価値を守りながらも、現代の消費者のニーズに合わせた革新が必要です。
地域社会と連携し、地元の和菓子文化を次世代へ継承するための新しい試みが求められています。
そして私たち一人ひとりが人生を豊かにするとともに、伝統ある和菓子文化を次世代へと受け継ぐことが、何よりも大切だと感じます。
コロナ禍によって一時途絶えかけた人々とのつながりには、人生に対する気づきや学びが詰まっているのではないでしょうか。
和菓子は大切な人とのひとときを彩り、心に花を添える存在であったと、今回の出来事を通じて、和菓子文化の重要性を改めて見直す良い機会となることを願います。




最後までご覧頂き有難うございました
洋菓子はコンビニフルーツとの戦い
和菓子は洋菓子との厳しい競争ですね!
皆さんはどんなお菓子を応援してますか?
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