早期退職からの脱サラ農業ガイドです 山椒栽培は儲かる?

早速ですが山椒が最近、日本市場で”超”品薄になっているのにお気づきでしたか?

原材料となる実山椒がここ数年の記録的な不作のため品薄や一部販売中止となっているのです。

山椒は果樹の中でも儲かる作物なんです!

目次

儲かる果樹栽培、山椒の魅力とは?


ある山椒生産者さんの楽天市場での直売価格を見ても2017年と比較して2倍近くに値上がりしてますね。

その原因は「気候変動」の影響が大きく、高温や霜害などにより収穫量が減少しているのです。

また「栽培農家の高齢化」が理由で、栽培農家が減少しているのも原因の一つです。

高所作業の安全対策として矮小化栽培技術が高まっており、一般農家への指導も始まってます。

兵庫県朝来市など一部産地では山椒の苗木の半額が補助金として助成されています。

知り合いの農家に聞いたところ、JAの営農センターに割り当てられた苗が完売しているそうです。

山椒は利益に直結する可能性大の作物で、安定した農家経営のためには不可欠な作物ですよ。

都道府県別の山椒(サンショウ)生産量トップ5

  1. 和歌山県
    • 生産量: 528.5トン
    • 全国シェア: 58.6%
    • 主要産地: 有田川町、紀美野町、紀の川市
  2. 高知県
    • 生産量: 280.4トン
    • 全国シェア: 31.1%
    • 主要産地: 越知町
  3. 兵庫県
    • 生産量: 28.4トン
    • 全国シェア: 3.1%
    • 主要産地: 養父市、丹波市、宍粟市
  4. 岐阜県
    • 生産量: 20.4トン
    • 全国シェア: 2.3%
    • 主要産地: 高山市、下呂市
  5. 奈良県
    • 生産量: 20.0トン
    • 全国シェア: 2.2%
    • 主要産地: 五條市、下市町

山椒の生産量は和歌山県が圧倒的に多く、全国シェアの約58.6%を占めています。

高知県と兵庫県が続き、これら3県で国内生産量の約93%を占めています。

これらの地域では山椒の生産ノウハウも蓄積されており苗の購入の半額補助などの助成金も期待できます。

逆に言うと主要産地以外で山椒を育て始める場合には補助金や技術的支援などは期待できないということです。

これにプラスして高温障害や霜害を克服できる農地を選べば成功確率がアップしてきますね。

関心がありましたら各地の普及指導センターや普及指導所、JA営農センターに相談してみて下さい

勿論、山椒は苗を植え付けてから収穫まで「桃栗三年、柿八年」と言われるように時間を要します。

その間も病害虫対策や施肥、剪定など手間暇は掛かります。

でも果樹は野菜とは単価が違いますし、1人あたりの年間売上ではゼロが1個違ってきます。

私が住んでいる兵庫県は隣県の岡山県と同様にブドウの産地です。

農家を指導する普及員から聞いたところ、ブドウは出荷したそばから売り切れるとのことです。

儲かる持続可能な農業を目指すのであれば、果樹栽培は必要不可欠ですよ。

特に山椒は、毎年100本植えれば3年後から年間40万円の売上増加が見込めます。

農家にとって、毎年40万円の売上増加は非常に大きな金額ですし、山椒は販路の開拓が不要です。

農協でも産直市場でも、食品メーカーでも買い手には事欠かないのです。

鳥や獣による食害の被害もなく、収穫した実は小さく軽いので山椒の実の輸送コストは無視できるレベルです。

もっとたくさんの山椒苗を植え付けても日常の管理は大きな負荷とはならない山椒ですが弱点は勿論あります。

収穫のタイミングが非常に短く、一房ごとに手で摘み取る必要があるため、人手がかかるんです。

田植えなどと収穫時期が重なる地域では、収穫体験などで手伝ってもらえる人を外部から集める準備も必要です。

逆に言うと「山椒の収穫の人が確保できれば、それ以外の時は他の作物を育てることができる」ことを意味します。

自治体の中には「楽農」と銘打って都市部との人材交流システム構築に注力しているところもあります。

『シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー』は、ワインツーリズムに取り組む世界最高のワイナリーを選出する『ワールド・ベスト・ヴィンヤード2023』で、 アジアNo.1に選ばれている有名なブドウ園です。

そのブドウ園の「収穫作業無料体験」を地元の長野県上田市役所の丸子産業観光課が1日につき50人限定で募集しているんですが、すぐに定員が一杯になるそうです。

別の地域ではぶどうの収穫作業に駆り出されたアルバイトに750円の時給しか払ってもらえない、といったクレームの投稿がYahooニュースに出てました。

一方ではお金を払ってもクレーム沙汰になるのに、役場公認の「アジアNo.1のワイナリーの収穫無料体験」であれば応募が殺到するのは、なかなか興味深いですね。

SNSフォロワーとの繋がりを収穫ボランティア体験に活かしたり、ワーケーションの一環として魅力的な非日常体験を提供する自治体の体制に参加したりと解決の糸口はきっとあると思います。

早期退職者には社会人として培ってきた社交性や人脈構築ノウハウなどの経験があるのです。

農業一筋のベテランにはクリアできない課題をクリアし、ビジネスもどんどん改善させてみてください。

農地探しのポイント

果樹栽培をするには、作物に合った土地を探すことが重要です。

先ほど述べた通り、既に産地として成功している地域が圧倒的に有利です。

  1. アドバイスを頂ける先輩農家がいる:経験豊富な農家に可愛がってもらえたら役に立つアドバイスが得られます。
  2. 生産に適した気候・土壌:成功している地域は、「現状」ではその果樹が気候や土壌が適していることが証明されています。但し将来的には温暖化の影響が出て来る恐れがあります。
  3. ブランド化の可能性:既にブランド化されている場合、新規参入でも一定の顧客が見込めます。
  4. 自治体の補助金制度:ブランド作物の維持のため、自治体が後継者育成や鳥・獣害対策など幅広く支援していることが多いです。
  5. 収穫時期の人手の確保:普段は手間が掛からない山椒ですが、短期間で全ての実を収穫する必要がありますので、経験者が多い地域であれば効率よく作業が完了できる可能性が高まります

残念ながら現在産地ではない地域での果樹栽培スタートのメリットは「話題になる」だけです。

「今まで誰も成功できなかったこと」には、それなりの理由があるのです。

それを克服するには人並み以上の苦労をしても失敗するリスクを容認するだけの貯えが必要です。

どうぞ現実をご理解の上、どこに何を作付けするかは時間を掛けて慎重にご検討ください。

果樹栽培用の農地の入手方法 借りますか?買いますか?

次に、農地を誰からどのように入手するかが非常に重要です。

  1. 廃業予定農家からの農場承継
    • 高齢で引退を考えている農家から果樹や機材をまとめて承継できたら最高にラッキーです。
    • 割高な承継費用が「技術を承継させてもらう授業料」や「苗が収穫を迎えるまでの生育を待つ時間」との対価として見合うか検討しましょう。
    • その際は果樹にも寿命があることを認識し、苗の追加や植替えなどライフサイクルも考慮しましょう。
  2. 農地の賃借または買取
    • <重要>果樹栽培の場合、賃借か買取かが重要なポイントです。
    • 賃借の場合、契約期間が短く、更新が保証されないリスクがあります。
    • 特に山椒のように収穫までに時間がかかる作物では、後述の通り契約期間がトラブルの種となります。
  3. 農地賃借契約のリスク
    • 農地の賃貸借契約は地元の農業委員会の承認が必要で、地域にもよりますが初回の契約は「最長3年間」の契約期間が設定されることが多いようです。
    • 契約期間が満了した際に、双方から申し出がなければそのまま契約延長となります。
    • しかしながら…貸し手が土地を返してほしいと言えば、契約満了となりこれまでの努力が無駄になる可能性があります。
    • 原状回復義務がある場合、植えた果樹を全て引き抜き、整地してお返しする必要が生じることもあります。

知り合いの指導員に聞いたところ、こんなトラブルに巻き込まれた果樹農家が実際にいたそうです。

山椒農家さん

苗の植付から3年、来年から始まる収穫が楽しみだなぁ!

地主さん

来年で契約満了だから、
うちの土地から出てってもらえるかのぅ?

山椒農家さん

えっ!どうしてですか!

地主さん

息子が地元に戻って来ることになったから、
山椒畑で働かせたいんぢゃ!

山椒農家さん

そ、そんな酷いですよ~

地主さん

そんなに嫌だったら、
山椒の木を全部片づけて元通りにして返してもらおうかのぅ~

山椒農家さん

そんなことしたら、何十万円も掛かりますよ!
分かりました、出て行きますよぅ~

初期投資を抑える「スモールビジネス」こそが新規事業成功の近道ではあります。

こんな酷い話はレアケースかも知れませんが、地主さんも自分の生活があるのです。

生活に困窮した地主さんから契約を盾に立ち退きを要求されたら断る術はありませんよ。

余計な心配なく仕事に集中するためには果樹を育てるために農地は買いましょう!

<重要>果樹栽培には、農地を買う覚悟が必要です!

上記のような賃借リスクを回避するには、果樹用農地は最初から購入が最善です。

新規就農にあたって山椒栽培へ取り組む際にはこの覚悟が「成功へのカギ」となります。

「先祖代々の土地」を他人に安価で売り渡すことに抵抗を覚える地主さんも一定数いますが…

一方で利用していない農地の草刈りなどの管理に頭を悩ませている高齢の地主さんがいるのは間違いないです。


自治体の農業振興課のような窓口に相談すれば、農地を売りたい地主さんと皆さんとのマッチングをサポート頂けます。

また営農計画立案や農地の土壌改良・潅水設備設置などに協力してくれる各県の農業普及センターの普及員にも相談するのも経営管理上、大事なステップです。

皆さんのビジネスの成功確率を上げるために、専門家の方からサポートやアドバイスを頂き、購入する農地を決定しましょう。

まとめ

小規模農家が経営を安定させるには野菜栽培だけでは年々難しくなってます。

新規就農者にとっての成功のカギは、収益率が高い山椒などの果樹栽培です。

ただし果樹栽培は野菜栽培以上に覚悟を伴う農地購入を前提としたビジネスです。

そしてベテラン農家さんですら異常気象のため収量が安定していません。

農地や作物の選択次第では西日を遮る屋根や潅水設備などの設置が必要となる場合も考えられます。

いずれにしても一度決めたら簡単に撤退することはできません。

皆さんの農業経営が成功することを願っています。

お知り合いに新規就農をお考えの方がいらっしゃいましたら、どうぞこちらをご紹介下さい。

パンチです

最後までご覧頂き
有難うございました




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