なぜ伊藤園は、宮崎のクラブを選んだのか──“ともに生きる”戦略の裏にある共鳴とは

なぜ伊藤園は、宮崎のクラブを選んだのか──“ともに生きる”戦略の裏にある共鳴とは

世界的に有名となった緑茶ブランド「お~いお茶」でお馴染みの「伊藤園」が、九州に本格的に力を注いでいます。

その象徴となる取り組みのひとつが、福岡・鹿児島といった主要都市を差し置いて、宮崎県のJリーグクラブ「テゲバジャーロ宮崎」とトップパートナー契約を結んだことです。

「なぜ宮崎のクラブなのか?」


その疑問の先には、伊藤園の美しい企業姿勢や将来を見据えた地域戦略の核心が見えてきます。

この記事では、伊藤園が九州で展開する取り組みの全体像と、宮崎という選択に込められた本当の意味を探ります。


目次

① 九州展開の本気度──福岡・天神に新業態を出店

本日、2025年4月24日(木)、福岡市の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」に合わせて「茶寮(さりょう) 伊藤園 ワン・フクオカ・ビル店」がオープンしました。

きっと地元のメディアは、この新施設をお昼や夕方のワイドショーで取り上げていることだと思います。

地下鉄天神駅直結という立地に構えられたこの和カフェでは、九州産のお茶や抹茶スイーツが提供され、茶室のような空間で“日本の和”を体験できる新たなスポットとなっています。

ここには、単にお茶を売るのではなく、体験としてのお茶文化を九州で届けるという挑戦が詰まっています。

八女茶が有名な福岡ですが、中心街天神で本格的な抹茶が楽しめる場所は今までなかったと思います。

アジアの玄関口としてインバウンドで賑わう福岡の地に、国内外の方たちにとってお茶との出会いの場が生まれたんですね、有難いことです。

公式ホームページでは、テイクアウトのドリンクや抹茶スイーツに混じり、「抹茶の入門セット」などを店頭で扱っていることが紹介されており、茶道文化の伝承にも伊藤園が一役買ってくれている姿勢が良く分かりますね。

日本の「和」をお伝えする和カフェ「茶寮 伊藤園」を、ONE FUKUOKA BUILDING.に4月24日(木)オープン | ニュースルーム | 伊藤園 企業情報サイト

ピーチです!

さすが飲料メーカー業界のホワイト企業ランキングで
「第2位」にランクインしている会社ですね。

ちなみに第1位は「ヤクルト本社」でした!​

② スポーツ支援という地域戦略に「共鳴」──テゲバジャーロ宮崎とタッグ

2024年、伊藤園はJリーグ・J3の「テゲバジャーロ宮崎」とトップパートナー契約を締結しました。

「福岡のアビスパでもなく、鹿児島ユナイテッドでもなく、なぜ宮崎?」

その理由の一端は、宮崎という土地との長年のつながりにあります。

実は伊藤園は、宮崎県で茶葉やにんじんの契約栽培を行っており、この地を重要な調達拠点と位置づけてきました。

また伊藤園は、このサッカークラブのオーナー企業「いちごグループ」とも20年来の取引関係があったというという背景もあったそうです。

お互いの宮崎での地域貢献活動を知ることとなり、地域への思いに「共鳴」した伊藤園が地域を育てるパートナーとしてJ3「テゲバジャーロ宮崎」へのスポンサー契約に名乗りを上げたようですね。

③ 他地域と宮崎との違い──福岡・鹿児島と比較して見えるもの

福岡では「茶寮 伊藤園」、鹿児島では全国一の茶生産地としてのブランドがある一方、伊藤園にとっての宮崎は、いわば素材・未来を育てる現場=“源流”の地なんだと思います。

鹿児島が“全国の茶マーケット”の象徴ならば、宮崎は“土や茶葉農家とともに生きる拠点”なのでしょう。

この“生産地との直接的な関係性”こそが、スポンサーシップという形をとった地域連携に繋がっているのです。


④ 茶業以外でも深まる宮崎との結びつき

宮崎では、にんじんやその他の野菜も伊藤園の飲料原料として契約栽培されています。

また、地元農家や関連業者との持続可能な取引を通じて、地域経済を支える役割も果たしています。

企業と地域という関係を超え、共に持続可能な未来を育む“共創関係”が築かれているのです。


⑤ 地域と生きるブランド──宮崎と伊藤園の共創

福岡の都市戦略、鹿児島の茶ブランド戦略とは異なり、宮崎で伊藤園が目指しているのは「地域と生きる」ブランドの姿です。

育てた茶葉やにんじんを製品にするだけでなく、地元スポーツと協働し、雇用を支え、環境にも配慮する。

それは、ただのマーケティングではありません。

伊藤園の“宮崎選択”は、企業の理念と地域の未来が交差する、ひとつの答えだったのです。

そしてその表れの一つが「宮崎県川南町」のふるさと納税・返礼品の「伊藤園製品の掲載」なのですね。


⑥ 伊藤園の社是に見る企業姿勢

お客様を第一とし 誠実を売り 努力を怠らず 信頼を得るを旨とする

この一文こそ、創業以来、伊藤園が大切にしてきた社是(企業理念)です。

単なるスローガンではなく、実際の事業活動や地域との関わりに息づく「実践の言葉」として、現在も社員一人ひとりの判断基準となっています。

例えば、宮崎県での茶葉やにんじんの契約栽培、Jリーグクラブ「テゲバジャーロ宮崎」への支援など、地域とともに生きる姿勢はまさにこの社是の実践に他なりません。

「お客様」とは、商品を手にする消費者だけではありません。

地域でともに働く生産者、サプライヤー、地元企業、そして未来の子どもたちもまた、伊藤園にとっては「お客様」です。

誠実に、努力を惜しまず、信頼を得る――。

その精神が、宮崎での地道な取り組みを通して、ひとつの“ブランドのあり方”を形づくっているのです。

パンチです

最後までご覧頂き有難うございました!
皆さんはどのような感想をお持ちですか?
九州出身の私は伊藤園の取り組み、凄く嬉しいです。

“A brand that grows where it belongs — in the hearts of the people and the land they live on.”

人と土地に根を張り、共に育つ。それが、真にふさわしい場所で育つブランドの姿です。

【おまけコラム】ホワイト企業評価の本質とは

伊藤園は、健康経営優良法人「ホワイト500」に選出され、離職率や有給取得率も業界内では優れた水準にあります。

一方で、社員からの口コミ評価は意外にも“平均的”という結果が出ているんです。

この結果に驚かれる方もいることでしょう。

しかし、このギャップの理由は明快です。

「伊藤園しか知らない社員には、伊藤園の“良さ”が当たり前に思える」

他社での過酷な労働環境を経験したことがなくって、比較する基準が自分の職場にしかないんですから、「可もなく不可もなく」といった相対的な評価にとどまるのは、ごく自然なことなのです。

また、どれほど制度が整っていても、部署や上司によって職場環境が大きく左右されるのも現実です。

どんなに名のある企業であっても、“ホワイト企業の中にブラックな現場が存在する”という矛盾は常に存在します。

だからこそ、評価を鵜呑みにするのではなく、「何を大事にするか」という自分軸で企業を見る視点が大切になります。

お茶業界に限らず、この厳しい時代に伊藤園のように、地域とともに生き、社会課題にも向き合おうとする企業は、その姿勢そのものが働く人を育て、守る力になっていると私は確信します。

以上、かつて日系企業ランキング第1位の製薬会社に在籍していた54歳男性の独り言でした

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