卵業界最大手の倒産と再建―イセ食品はなぜ潰されずに済んだのか?

目次

イセ食品倒産でも卵が消えなかった理由

2022年、鶏卵業界の最大手であるイセ食品が突如として会社更生法の適用を申請し、大きなニュースとなりました。

​同社は「森のたまご」などのブランドで知られ、多くの消費者に愛されていました。​

しかし、その倒産劇の背後には、金融機関が「会社を守る」という異例の動きを見せ、私たちの食卓から卵が消えることなく供給され続けたという驚くべき事実が隠されていました。​

金融機関の「会社を守る」という選択

イセ食品の倒産劇において、金融機関が「会社を守る」という選択をした背景には、以下のような要因が考えられます。​

  • 社会的責任の認識:​イセ食品は日本の鶏卵供給の重要な役割を果たしており、その倒産は社会全体に大きな影響を及ぼすと認識されていました。​
  • 経営再建の可能性:​金融機関は、適切な支援と経営改善策を講じることで、イセ食品の再建が可能であると判断した可能性があります。​
  • 長期的な取引関係:​金融機関とイセ食品との間には長年の取引関係があり、その信頼関係から支援を決定したと考えられます。​

私たちの食卓から卵が消えなかった理由

イセ食品の経営破綻後も、卵の供給が途絶えなかった主な理由は以下の通りです。​

  • サプライチェーンの維持:​金融機関と新たな経営陣は、既存のサプライチェーンを維持し、流通網を確保するための措置を講じました。​
  • ブランド価値の保持:​「森のたまご」などのブランドは消費者から高い信頼を得ており、その価値を守るための努力がなされました。​
  • 従業員の雇用維持:​従業員の雇用を守ることで、生産体制の維持と品質の確保が図られました。​

この一件は、企業の経営破綻と再建の複雑さ、そして金融機関の役割について多くの示唆を与えてくれるかと思います。

また私たちの食卓から卵が消えなかった背景に、多くの関係者の尽力があったことも忘れないようにしたいですね。

パンチです

是非最後までご覧ください

イセ食品の経営破綻と倒産の背景

イセ食品は長年にわたり、鶏卵の生産から販売までを垂直統合した事業モデルで成長してきました。

しかし、過剰な設備投資、国内外でのM&Aの連続、経営の私物化とも言われたガバナンスの問題により、財務状況が急激に悪化。

最終的には453億円もの巨額な累積赤字を抱え、経営が立ち行かなくなってしまいました。

更に債権者である金融機関と、経営責任を認めようとしない旧経営陣との間で対立が深まり、再建の方向性は完全に行き詰まりました。

なぜイセ食品は会社更生法を申請するに至ったのか

イセ食品株式会社が2022年3月に会社更生法の適用を受けた背景には、債権者・関係金融機関にとって無視できないリスクと課題が積み重なっていました。

主な要因

  1. 財務悪化と収益圧迫
    飼料価格の高騰や卵価の下落により、収益性が著しく低下。2期連続の赤字に加え、M&Aによって抱えた借入金の返済が重くのしかかっていました。
    出典:流通ニュース
  2. 経営ガバナンスの欠如
    元会長による高額な美術品購入(いわゆる「イセコレクション」)が資金繰りを悪化させ、また事業承継にも非協力的な態度を取り、経営改善が進まない状況が続きました。
    出典:東京商工リサーチ
  3. 私的整理の限界
    2020年から金融機関との協議により私的整理を試みましたが、元会長との意見対立や資産管理の問題で交渉は難航。再建の見通しが立たず、法的整理へと移行せざるを得ませんでした。
    出典:コーポレート・リーガル

債権者が主導した更生法申請

このような背景から、主要債権者であるあおぞら銀行と元会長の長男である伊勢俊太郎氏が、企業の命運を見極め、会社更生法の申請を主導

結果として、SMBCキャピタル・パートナーズをスポンサーとする再建スキームへと進みました。

参考記事:

イセ食品の事業承継とサプライチェーン維持

スポンサー企業による事業承継がスムーズに行われた結果、イセ食品の主力ブランドやサプライチェーンは維持されました。

養鶏場や流通網、取引先との関係もそのまま引き継がれたことで、スーパーの店頭から卵が消えることはなかったのです。

また、雇用も守られ、現場で働く従業員の多くが引き続き業務に従事することができました。

これはまさに、「会社を潰さずに守る」という金融機関の姿勢が実を結んだ象徴的な出来事でした。

海外子会社とグローバル事業は更生手続きの対象外

なお、イセ食品が展開していた海外事業(米国やアジアの現地法人)は、会社更生法の適用対象外となり、国内事業の再建とは切り離して処理されました。

イセ食品の現在:たまご&カンパニー株式会社として再出発

かつては業界最大手の1つだったイセ食品株式会社は、2022年3月に会社更生法の適用を申請し、負債総額は約453億円にのぼりました。

しかし、その後はSMBCキャピタル・パートナーズをスポンサーに迎え、着実に再建を進めています。

再建のステップと現状

  • 2022年11月:SMBCキャピタル・パートナーズが支援に参加
  • 2023年9月:グループ10社を統合し、「たまご&ファーマーズ株式会社」に社名変更
  • 2024年2月:さらに「たまご&カンパニー株式会社」に再度社名変更

このような再編により、事業のスリム化と財務基盤の強化を図りつつ、主要事業である鶏卵の生産・流通を維持・強化しています。

売上・市場シェアの情報

2025年4月現在、再建後の具体的な売上高や市場シェアに関する公式データはまだ公開されていませんが、今後、決算発表や業界レポートを通じて、たまご&カンパニー株式会社の立ち位置が明らかになることが期待されます。

参考リンク

まとめ 企業再生と金融機関の役割――社会を支える再建の形

「銀行は会社を潰すもの」と思われがちです。

たしかに、債権回収を最優先にするケースは少なくありません。

しかし今回のイセ食品の再建では、金融機関が企業の社会的価値に注目し、持続可能な形で守る道を選びました。

453億円の赤字を出した会社を、潰さずに、社会のために活かす。

そのために銀行が動いた―これは、企業再生の未来に希望をもたらすストーリーではないでしょうか。

パンチです

最後までご覧頂き有難うございました
銀行って、良いイメージがなかったけど…
ちょっぴり、見直しました!
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