農業の世界には、予期せぬ出来事や思わぬ成功が待ち受けています。
今回は、私が自営農家として経験したジャガイモ・サツマイモ栽培の失敗談と、その後の意外な成功についてお話しします。
農業の奥深さと面白さを感じていただければ幸いです。
ジャガイモ 「メークイン」をマルチ掛けして育てたらの巻
農地を借りて初めての春、2月頃にメークインを植える準備をしていたところ、地主さんを紹介してくれた農家の先輩が手伝ってくれることになりました。
体験農園で教わったやり方で植えようとしたら、「マルチ掛け」して育てた方が良いとのこと…
その人の指示通りに急遽マルチを購入して植え付けました。
いよいよ6月上旬の収穫のタイミングが到来し、マルチをはがしたところ、驚きの光景が!
なんとスコップや鍬で掘り起こすまでもなく、一部緑色に変色したジャガイモが土の上に整列していました。
これって私のせいではないですよね!って言ったところで仕方がないです。
当然、収穫したものは出荷できず、自家消費もできずに処分に悩んだ結果、種芋として9月に畑に植えてみました。
地元の農家の言い伝えでは、夏植えのメークインは育たないと言われていました。
ただ実際に挑戦した人は周囲にはおらず、駄目で元々でやってみました。
結果は、なんと大成功!
独占状態でXmasシーズンにメークインを売り出したところ、1袋3個入り300円の高値で完売しました!
「人間万事塞翁が馬と」言いますが、何が幸いするか分からないものですね。
今では私の成功を真似て、たくさんのメークインがXmasシーズンに出回るようになったそうです。
めでたし、めでたし。
ジャガイモ 「キタアカリ」が 速攻発芽しちゃったの巻
Xmasのメークインが大当たりだったため、出荷先でも私のジャガイモは徐々に知名度が上がっていきました。
でも他の出荷者が1袋3個入り180円で売っている中で、300円という高値では売れる量も限られました。
そんな時に、「ジャガイモを冷蔵庫で2ヶ月ほど貯蔵すると、糖度も上がって美味しくなる」、「適度に水分が飛んで、ポテトサラダにしてもベチャっとしない」という情報を聞いたので、早速業務用冷蔵庫の購入を決定しました。
冷蔵庫があれば品薄の時期に高値で販売できるので、1シーズンで冷蔵庫投資分を回収できるくらい売れました。
キタアカリも作って欲しいと、お客さんからリクエストを頂いたので挑戦してみたところ大好評!
収穫したてのものを東京の中華料理店のオーナーシェフにもお送りしたところ、太鼓判を頂く出来でした。
更に驚かせてみたいと、後日2ヶ月間冷蔵保存したキタアカリを送ったところ、
大目玉をもらい取引が終わりました…
キタアカリは冷蔵庫から出すとすぐに発芽準備が始まってしまうようです。
クール便で送っても東京に着いた頃には食べられない状態になってしまっていたそうです。
通販で生鮮食品を扱う難しさを痛感しました。
その後、ヤマト運輸が料金割引の終了を連絡してきたタイミングで通販は一切止めました。
サツマイモ 安納芋の時代が来るのが1年遅かったの巻
私は最終的にゴボウ、ニンジン、ジャガイモの3つに絞って生産・出荷をしていました。
それに至るまでにはサツマイモを始め、いろんな野菜も育てていました。
サツマイモも色んな品種を育ててみましたが、私の畑には鳴門金時と安納芋が合っていました。
しかし、安納芋がいつも売れ残るのが残念を通り越して可哀そうになりました。
鳴門金時や紅あずまのような綺麗な赤紫色ではなく「くすんだ茶色っぽい外観」が美味しくなさそう!
尚且つ「焼き芋専用」という調理用途が限定される品種だから一見さんには敬遠されてたんです…
私は大好きでしたが、産直市場ではいつも売れ残ってしまうので、鳴門金時だけの生産へと切り替えました。
そしたら翌年、TV番組「鉄腕ダッシュ」で安納芋が大ブレークし、売り場では引っ張りだこに…
苗も数量限定でしか買えなくなってしまいました。
推しのマイナーアイドルがスーパースターになったようで、ある面では嬉しかったのですが…
もう1年安納芋を育てていたら、あのビッグウェーブに乗れたのにと、少しだけ後悔しています。
テレビ、最近見る機会が減っている方も多いと思いますが、まだまだ影響力はあるんですよね。
ニンジン pH計を過信してしまったの巻
ニンジンは当初20品種くらい育てていましたが、私の畑にフィットする「紅かおり」と「テーブルスティック」の2品種に絞ることにしました。
紅かおりは「あま~いニンジン」というキャッチフレーズ通り、見た目は普通のオレンジ色の人参ですが…
生食でもスッキリした甘さが特徴で美味しいですが、加熱すると更に甘さが増し、シチューやステーキの付け合わせにピッタリのオールマイティな品種で、私が一番大好きなニンジンです。
日本一のサラダチェーン店に私の育てた人参を売り込みに行ったら、後述する「テーブルスティック」よりもこの「紅かおり」の方が評価が高くて合格頂けたのは嬉しかったです。
一方でテーブルスティックの見た目は「レモン」や「バナナ」のような鮮やかな黄色で、生食では柿のような爽やかな甘さが楽しめるけど、「加熱すると全く美味しくない」という「癖が凄い」品種です。
どちらも糖度10度近くまで美味しくなりますが、1度だけ大失敗したことがありました。
玉ねぎを育てるために土壌のpHを測定する必要があり、簡易pH計を購入しました。
これで耕運前の人参の畑のpHを測定したところ問題ない数値だったので、そのシーズンは土壌改良剤の有機石灰も苦土石灰も入れずに栽培に臨みました。
そしたらです…、収穫前の間引きしたものを食べても全く美味しくない、今までに経験したことがない事態でした。
収穫時期が来て、紅かおりはかろうじて合格でしたが、テーブルスティックは出荷できるレベルにない不味さでした。
ニンジンの美味しさにはミネラル分が必要なんだな、と痛感させられた大失敗でした。
結論
いかがでしたでしょうか?
振り返ってみると、農業の道は決して平坦ではありませんでしたが、失敗を通じて多くのことを学びました。
これからも挑戦を続け、より良い農業を目指していきたいと思います。
皆さんも、どんな困難に直面しても諦めずに挑戦し続けてください。
素晴らしい未来が待っているかも知れませんよ。
最後までご覧頂き有難うございました。
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