私は根もの野菜の専門農家としてゴボウ、ニンジン、ジャガイモに特化して生産・出荷してました。
うちの野菜のファンになって頂いたお客さんからも
「兄ちゃんのところは大根は作らないの?あったら絶対買ってあげるのに!」と有難いリクエストを頂いてました。
理由は色々あるんですが一言で言うと「大根は重くて儲からない」から育てませんでした!
大根生産者のデメリットについて
大根は生では「大根おろし」にしたり、「サラダ」にもなりますし
「おでん」や「ぶり大根」だと主役級の働きをしてくれる秋~冬の代表野菜ですよね。
私も美味しい「おでん大根」を育ててみたんですが、1シーズンで挫折したのは割に合わない労力にありました。
一言で言うと「重くって、儲からないから」です!
私が生産してたニンジンは出荷用のコンテナ1箱で「8,000円前後」になるのですが、大根は1箱にせいぜい5本で「1,000円」前後にしかならないんです。
畑で収穫してからお店に出荷するまで、重たい大根に愛を注ぐことは、腰痛持ちの私には無理でした。
- 洗浄:収穫した大根を泥や汚れを落とすために洗浄します。特に大量の大根を洗浄するには機械を導入しても多くの労働力が必要です。
- 選別:大根の品質を確認し、形や大きさ、傷の有無などで選別します。市場に出荷するためには一定の基準を満たす必要があります。
- カット:葉や根の部分をカットし、出荷用に整えます。特に葉がついたままの大根は葉を切り落とす作業が必要です。
- 梱包:選別された大根を適切なサイズの箱や袋に梱包します。梱包作業も手作業で行うことが多く、労力がかかります。
- 出荷準備:梱包された大根を出荷のために準備します。軽トラックなどへの積み込みや積み下ろし作業は大変です。
実は私に限らず、生産者の大根離れは進んでいて将来大根がスーパーの売り場から消えてなくなるかも知れないんです。
生産者の大根離れについて
大根の生産では、北海道は千葉に次ぐ国内2位とのことです。
しかし収穫には手間がかかり人件費がかさむうえ、専用の収穫機も必要です。
こうしたことから、生産者の大根離れが進んでいるといいます。
これは生産者個人に限らず生産者と共に出荷の一翼を担うJAでも同じです。
JA芽室は町内の大根を集めて選別や出荷を行っていましたが、2年前に事業から撤退しました。
大根の単価が安く、今後の採算が見通せないという理由でした。
この結果、各生産者は出荷までの全作業を行うことになり負担が増しており、芽室町のファーム・ミリオンは、JA芽室の事業撤退を受けて大根の生産を大幅に縮小しました。
同社ではピーク時は年250トンくらい生産していた大根は、今は1トンも取れませんと話します。
現在は、生産のメインをブロッコリーや長芋に変え、大根は自社で漬物に加工する分しか作っていないとのことです。
一方でブランド化に力を入れている自治体もあります。
同じく北海道の帯広市ですが、当初10ヘクタールほどだった作付面積は、今では30倍の300ヘクタール、年間収穫量1万2000トンの規模になりました。
JAの施設には、大正地区で収穫された大根が次々と集まってきます。
ここでは、大根の洗浄や葉の部分を切り揃える作業を、多い日には100人のスタッフで行います。
また、重たい大根の箱を運ぶ作業にはロボットも導入しています。
JAと生産者たちが連携しなければ、事業の継続は難しいといいます。
生産者の経費は1割強から2割上がってきており、選果場運営も経費上昇に苦しんでいるとのことです。
私は誰かに犠牲の上で成り立っているビジネスには、いずれ破綻が訪れるものだ考えています。
「大根1本200円!高い!」という風潮があるのであれば、いずれ日本から大根生産者はいなくなるでしょう。
皆さんはいかがお考えですか?
大根・ニンジンって上部と下部のどちらが美味しいか知ってますか?
話は変わって…今から旬を迎える梨、瑞々しくって美味しいですよね!
梨って枝に近い上部と下部とで糖度が違うのはご存知ですか?
実は梨はお尻の部分から熟していくため、下の方が糖度が高く、甘くなる傾向があります。
イチゴも先端に行くほど甘いですが、リンゴは皮の周りの外側ほど甘く、柿はどこを食べても糖度は変わりません。
では大根は上部(葉っぱ側)と下部(先端の方)のどちらが美味しいでしょうか?
正解は、「上の方が甘い」又は「食べ方によって異なる」でした。
簡単にまとめましたのでご覧ください。
大根の上部と下部の味の違い
上部(葉に近い部分)
- 味:甘みが強い
- 食感:みずみずしく柔らかい
- おすすめの料理:サラダ、生食、大根おろし(辛いのが苦手な方用)
下部(根に近い部分)
- 味:辛みが強い
- 食感:水分が少なく、しっかりとした食感
- おすすめの料理:煮物、おでん、漬物、大根おろし(辛いのが好きな方用)
畑や家庭菜園で栽培すると分かるのですが、根の部分を虫が齧る時は、先端ではなく葉の近くの上部だけです。
ニンジンも同様に虫に齧られるのは上部だけなんですが、実は先端部分と比べて上部は糖度が高いんです。
虫は甘いものが大好きで、どこが甘いか、分かるんですね。
美味しい大根の見分け方
続いてお店で悩むことがなくなる、美味しい大根の見分け方をご紹介しますね!
- 葉の状態
- 鮮やかな緑色の葉が付いているものを選びましょう。黄色い葉は間違いなく鮮度が落ちています。
- 根の状態
- 調理がしやすいように、まっすぐで太いものが良いです。曲がっているものや細いものは避けましょう。
- 表面が白くてハリとツヤがあるものを選びましょう。しわが寄っているものは避けてくださいね、明らかに収穫してから日が経ちすぎてる証拠です。
- 重さ
- ずっしりと重いものを選びましょう。軽いものは水分が少なく、鮮度が落ちている可能性があります。
- 切り口
- カットされた大根の場合、切り口がみずみずしく、きめが細かいものを選びましょう。
- 『す(空洞)』が入っているものは避けてください。
大根の種まきの注意点
ちょうど今が秋まき大根の種まき時期ですね。
自家消費用に育てられるときの注意点についてまとめてみましたのでご覧くださいね。
種まきの時期:
- 大根は春と秋の2回種まきができますが、秋まきが一般的です。
- 8月下旬から9月下旬に種をまくと、10月から12月に収穫できます。
土作り:
- 大根は根が深く伸びるため、土を深く耕し、通気性と排水性を良くすることが重要です。
- 苦土石灰をまいて土壌のpHを調整し、元肥を施します。
種まきの方法:
- 畝に直接種をまきます。株間30cmで1ヶ所に2〜3粒を点まきし、軽く土をかぶせて鎮圧します。
- 種と土を密着させるためにたっぷりと水をやります。
防虫対策:
- 大根は害虫に弱いため、種まき後すぐに防虫ネットを掛けると良いです。
- 特にアオムシやコナガなどの害虫から守るために有効です。
間引き:
- 発芽後、3回の間引きを行います。
- 双葉が開いたら3本立ちにし、本葉2枚の頃に2本立ち、最終的に本葉5〜6枚の頃に1本立ちにします。
追肥と土寄せ:
- 3回目の間引きの際に追肥を施し、畝を中耕して株元に土を寄せます。
- これにより、根がまっすぐに育ちやすくなります。
大根は収穫時期を過ぎると急激に太くなったりする品種もあります。
種まきは何度かに分けたり、異なる品種を少しずつ育てた方が収穫時期が分散できるのでお薦めですよ。
最後までご覧頂き有難うございました。
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