ニンジンは儲かる野菜の一つです。
秋~冬シーズン、私は5反の畑の半分ほどでニンジンを作付けてました。
品種を選んで良いものが出来るようになれば100万円/月は売れます。
私がニンジン栽培に注力する中で、特に重要視してきた種蒔きの工程について詳しくお話しします。
ニンジンは『発芽すれば90%の成功率』と言われています。
言い換えれば種まきを失敗すれば…、でも、もう大丈夫です。
発芽率をアップさせるためにホーという農機具を使ったひと工夫や、
一粒ずつ種を蒔くことが出来る真空播種機といった便利な機械など、
私が成功するために心掛けてたことをまとめました!
家庭菜園に取り組まれている方にもお役に立てると思いますのでご一読くださいね。
なぜニンジン農家は種蒔きを重視するのか
理由1.発芽した本数以上に収穫できないから
種蒔きが成功すれば収量が増え、発芽が不均一だと収量減が確定します。
例えば、9月に10,000粒の種を蒔いて500粒しか発芽しなかった場合、その後どれだけ努力しても最大で500本のニンジンしか収穫できません。
100万円が目標なのに、500本のニンジンのために1月末の収穫完了まで「タダ働き」同然ではツライです。
理由2.種を蒔き直しするチャンスがないから
ニンジンの場合は種まきしてから発芽までに10日~2週間ほどかかります。
更に日に日に気温が下がる9月頃は1週間種まきが遅れると成長が鈍化し収穫は2~3週間遅れます。
種の蒔き直しは手間もお金も掛かるし挽回するのは不可能と言っても過言ではないです。
ニンジンの種まきに必要なもの
ホー!
種まきに必要な道具、副業や趣味で農業を始める皆さんは、初期投資はできるだけ抑えた方が良いでしょう。
そのため、「ステンレス製のホー」を1本ご用意いただくだけで十分です。
種まきだけでなく、その後の中耕や土寄せ作業でも活躍する優れモノなので是非ご準備ください。
畝作りが完了したら、まずはホーを使って種蒔き用の溝を掘ります。
溝の幅は約5㎝、深さは約2㎝程度で、1本の畝に最大2列の溝を掘ります。
溝が少し曲がってしまったり、深さが均一でなくても大丈夫です。ここはそれほど気にしないでください。
ビニール手袋 & お椀!
種蒔き用の溝が完成したら、次は種蒔きです。
ニンジンの種まきは1.5~2.0㎝間隔になるように蒔いています。
コーティングされた種子は適度な大きさと重さで扱いやすいですね。
でもニンジンの生種(きだね)は鉛筆の削りカスのようで、風が吹くと飛んでしまいますから風が強い日の種まきは避けましょう。
コーティング種子も生種も汗で指先にくっつきやすいので、私は薄手のビニール手袋を使用します。
種袋からお椀のような器に種を移して、手袋をした指先か細い絵筆のようなもので種を一粒ずつ溝に落とします。
コーティング種子の方が断然種まきしやすく、発芽もしやすいのですが弱点もあります。
その一つはどの品種にでもコーティング種子がある訳ではないという点です。
新規参入で市場で存在感を出すのに私が選んだのは「ニッチ市場」への挑戦です。
「黄色い人参(テーブルスティック)」を選んだ結果、新規就農7年目に日本一のJA産直市場で月間1位となりました。
30mの畝2列の種まきには1~2時間は掛かると思います。
腰が痛くなったり、足が痺れたり、目がかすんだりと、種蒔きは大変な作業です。
でも、ここで頑張れば間引きも楽になりますので、休憩を挟みながら頑張ってください。
農薬「ネマトリンS」と「ダイアジノン粒剤5」!
基本的に人間が食べて美味しいと思う野菜や品種ほど害虫の被害は多い感覚があります。
必要に応じて「センチュウ」対策に「ネマトリンS」の使用を検討ください。
種を溝に蒔き終えたら、ダイアジノン粒剤5を種まき用の溝の上に適量散布します。
これは発芽直後の若い芽をネキリムシから守るためです。
このテーブルスティックは害虫からの食害が普通の人参と比較して遥かに多いです。
皆さんが取り組んでいる農業が収益を上げるためなのであれば適切な農薬散布をしてください。
種まきの重要工程、圧着工程です!
次にまたホーの出番、圧着工程です。これは非常に重要な工程です。
種蒔き溝の外側にできた盛り土を崩して種を埋める作業に、ホーの先端の平らな「背」の部分を使います。
これにより土と種を密着させ種の周りに水分が保たれやすくなります。
更に蒔いた種の深さもほぼ一定となるため、発芽率が大幅に向上する大切な一手間です。
念のためお話しますが、圧着作業は水やり前にやって下さいね。
不織布 又は 寒冷紗で被覆!
その後、畝全体を不織布や寒冷紗で覆い、鉄筋を1mの長さに切ったものなどで四方を固定し、風で飛んだり、ずれたりしないようにします。
当初はマルチ留めを転用していましたが、ホームセンターで売っている直径10㎜または13mmの鉄筋を約1mの長さに切ったものが特に片付け時に便利でした。
発芽が揃ったのを確認できるまで、雨が降った日以外は毎日10日間~2週間たっぷり水やりを行いました。
発芽が確認できたら、芽を傷つけないように、不織布や寒冷紗を丁寧に回収します。
その後、コオロギの食害対策の農薬「デナポン5%ベイト」を畑の外周に散布します。
また可能であれば100%の発芽状態になるまで水やりを続けます。
お疲れ様でした。ここまで来れば、皆さんのニンジン、まず大丈夫です。
シーダーテープ(シードテープ)は種まきの苦労を軽減する?
シーダーテープについては色々な農家さんが使用されて評価されてます。
シーダーテープは、種蒔き作業を簡単にするための製品です。それは品種ごとに適正な間隔で種が封入されているヒモ状のテープで、必要な長さにカットしてまき溝に置くだけで、適正な株間に適正な数の種がまけるという、便利で優れた商品です。
種まきの大変さを軽減するため、シーダーテープを知人から紹介されて1度だけ使いました。
でもテープ自体の材質が思った以上に硬いせいで、リールに巻き付けている際に出来たテープの癖がきつく、ホーで掘った溝にきちんと納めるのが難しかったです。
シーダーテープで種まきを行い、発芽を揃えるには、ある程度の慣れが必要なようです。
また種まきを失敗して、改めて種を蒔きなおす必要性がある場合、追加発注したものの入荷に時間が掛かり、種まきのタイミングを逸することに繋がりますので、採用にあたってはデメリットも含め慎重な判断が必要だと思います。
生種(きだね)を蒔くなら真空播種機で決まりです
私は本格生産するニンジンの品種が生種のものに決めて、真空播種機を導入しました。
真空播種機の長所!
真空播種機はコーティング種子以外の種(生種)であれば、付属のパーツを付け替えることで小さなニンジンやコカブの種から大きな大根の種まで1粒ずつ蒔くことが出来る優れものの機械です。
JAの営農センターや通販で買ってきた種をすぐに蒔けますから、蒔き直しが必要な時も安心です。
畝作りをした表面にダイアジノン粒剤5を振りかけたら、真空播種機で1往復2列の種蒔きが完了します。
この播種機を使えば台風が近づいてきて翌日雨が期待できそうな風が強い日でも問題なく種まきが出来ます。
また種を1粒ずつ約2㎝間隔で蒔いてくれるので間引きの手間が、グーンと減らすことが可能です。
更に種まきの際に後ろタイヤが十分な重みで土に種を圧着してくれるのも嬉しい設計です。
一様な深さで土ともしっかり種が馴染んで発芽率が安定する点が私の最大のお気に入りポイントです。
今まで30mの畝1本の種まきに手作業だと2時間以上かかっていたのに、5分で終わってしまいますよ。
真空播種機の弱点
1つ目は種の吸引部にゴミやホコリが詰まりやすいことです。
機械の使用直前や種まきの最中に細い針金で吸引部の0.1㎜ほどの穴を掃除する必要があります。
私は種を充填する際に「茶こし」などで篩いにかけ「種のカス」を機械に入れないようにしてます。
2つ目としては機械の構造上、十分に種を準備しておく必要がある点です。
吸引ノズルに届かず種が吸い上げられないため、2~3袋分位の種は余裕をもって準備してます。
余った種は冷蔵庫の野菜室に保存すれば次のシーズンに使えることは使えます。
しかし若干発芽率が落ちる気がしますので、必要経費と思って残った種は処分してます。
3つ目は機械が大きくて重い点です。
非力な方や小柄な方は軽トラックの荷台への積み込みと積み下ろしが結構大変かもしれません。
一度、下ろしてしまえばタイヤが付いているので作業は楽です。
近隣の方にサポートをお願い出来ると、より安心して作業できると思いますよ。
真空播種機の総合評価!
デメリットもありますが生種のニンジンを1日で20本以上の畝に種蒔きするにはベストな方法です。
皆さんが大量生産を目指すときには必要な機械ですので近い将来にどうぞご検討下さい。
なおコーティング種子は真空播種機では使えませんのでご注意ください。
いずれにしても種まきから発芽までがニンジン栽培の勝負どころです。頑張りましょう!
最後までご覧頂き有難うございました。
またこれ以外に新規就農時の参考事項をまとめてますので、こちらもご覧ください。
最後までご覧頂き有難うございました。
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