抹茶はなぜ世界で人気に?アメリカ・ヨーロッパ・アジアを巡る抹茶ブームの今

なぜ、いま抹茶がこれほどまでに世界で人気を集めているのか?

かつて日本国内で静かに親しまれてきた抹茶は、いま、世界中でさまざまな広がりを見せています。

アメリカではウェルネス志向の高まりとともに、
ヨーロッパでは本格的な茶文化への関心の高まりとともに、
そしてアジア各地では、抹茶を取り入れた新しいスイーツ文化の中で──。

なぜ、いま抹茶がこれほどまでに世界で人気を集めているのか?
本記事では、地域ごとの背景や文化的な違いをたどりながら、世界的な抹茶ブームの今を紐解いていきます。

目次

第1章 日本国内での抹茶ブームの変遷

日本国内での抹茶ブームは、実は一度に起きたわけではありません。

1990年代後半から2000年代にかけて、二つの大きな波を経て広がっていきました。

最初のきっかけを作ったのは、1996年にハーゲンダッツが発売した「グリーンティー(抹茶)アイスクリーム」です。
当時、抹茶といえば年配者向けの渋い、そして苦い飲み物というイメージが一般的でしたが、高級感と洗練されたイメージを打ち出したハーゲンダッツの抹茶アイスは、若い世代にも「抹茶はおしゃれな味」として受け入れられるきっかけとなりました。

次に、2001年にスターバックスが「抹茶クリームフラペチーノ(現在の販売価格¥595~)」を発売しました。
カジュアルなスタイルで抹茶を楽しめるこの新商品は、若者層を中心に大ヒットし、全国規模で「抹茶=おしゃれで身近な存在」というイメージを決定づけました。

このスターバックスの成功をきっかけに、コンビニスイーツやファミリーレストラン、各種スイーツブランドでも抹茶を使った商品開発が一気に加速しました。今では宇治の老舗茶舗でも競うように本格抹茶スイーツが楽しめる都心型店舗や体験型テーマパークの建設などに取り組んでおり、国内外の多くの観光客を楽しませてくれています。

我が国において抹茶は単なる伝統飲料ではなく、スイーツやドリンクを通じて日常的に楽しむものとして、そしてたまに愉しむ贅沢品として幅広い世代に定着していったのです。

第2章 アメリカでの抹茶人気の広がり

アメリカにおける抹茶ブームは、日本とは少し違った形で広がりました。

もともとは、日本のスターバックスで人気を博した「抹茶クリームフラペチーノ」の成功をきっかけに、アメリカ国内のスターバックス店舗でも抹茶系ドリンクが導入されるようになりました。

当初、一般層にとって抹茶は「甘くて飲みやすいスイーツドリンク」という位置づけで、抹茶ラテや抹茶を使ったスイーツが親しまれていきました。

しかし、抹茶が本格的に「健康志向の食材」として認識されるようになったのは、2000年代に入ってからです。
ウェルネス志向が高まる中で、ヨガ愛好家やヘルスコンシャスな層を中心に、抹茶の持つ抗酸化作用やリラックス効果に注目が集まったのです。

彼らは、抹茶を伝統的に点てて飲むわけではありません。バナナやベリー類、アーモンドミルクと一緒にミキサーでブレンドした抹茶スムージーを、グラノーラやフルーツにかけて食べるといったスタイルで、抹茶を「スーパーフードのひとつ」として日常に取り入れています。

特に、女優のグウィネス・パルトローをはじめとするセレブリティが、オーガニック抹茶を美容とリラックスのために愛用していることが話題となり、抹茶の認知度と人気はさらに高まりました。

アメリカでは、「甘い抹茶スイーツ文化」と「健康志向の抹茶摂取文化」が並存し、それぞれのライフスタイルに合わせて抹茶が楽しまれているのが特徴です。



第3章 ヨーロッパに広がる抹茶人気

ヨーロッパでも、近年抹茶への関心は着実に高まっています。

ただし、アメリカとは異なり、ヨーロッパでは「高品質な日本文化の象徴」として抹茶を捉える傾向が強いのが特徴です。

背景には、もともとフランスやイギリスに根づく紅茶文化
そして19世紀から続く「ジャポニズム(日本文化への憧れ)」の影響があります。
ヨーロッパでは、お茶をただの飲み物としてではなく、特別な文化的体験として楽しむ土壌が育まれてきました。

そのため、抹茶もまた、単なるスイーツ素材や流行のヘルシーフードとしてではなく、「日本が誇る伝統と品質を体験する手段」として受け入れられています。

ロンドンやパリでは、上質な抹茶を使ったラテやエスプレッソを提供するカフェが若者を中心に人気を集め、
抹茶マカロンや抹茶パフェといったスイーツでも、抹茶本来の香りや旨味を活かすレシピが重視されています。
甘すぎる加工品ではなく、抹茶そのものの質にこだわる姿勢が色濃く表れているのです。

また、日本の老舗茶舗が現地に専門店を出店したり、一流レストランが本格抹茶を使ったデザートをコースに組み込むなど、日本側からの「本物志向」の戦略的アプローチも、ヨーロッパにおける抹茶の高級イメージ形成を後押ししました。

こうしてヨーロッパでは、抹茶は単なる健康食材ではなく、「本物を味わう」特別な時間を彩る存在として広がりを見せているのです。


第4章 アジア地域における抹茶ブーム

アジアでも、日本発の抹茶ブームは力強く広がりを見せています。
特に韓国台湾では、抹茶が単なる流行を超え、独自のスイーツ文化の中に根付いているのが特徴です。

韓国では、2010年代に入ると「抹茶ラテ」や「抹茶スイーツ」が若者の間で大流行しました。
抹茶を使ったケーキやアイスクリームはカフェメニューの定番となり、「抹茶×チーズケーキ」「抹茶×ミルクティー」など新しい組み合わせも次々登場してます。中でも、京都宇治の老舗辻利と提携したカフェチェーンでは、「辻利抹茶ソフトクリーム」や「抹茶ティラミス」など、日本ブランドを前面に打ち出したスイーツ展開が話題となりました。SNS映えする鮮やかな抹茶メニューが若者に拡散され、抹茶人気を一気に加速させたのです。

台湾でも、抹茶ブームは急速に拡大しました。
日本旅行ブームと連動し、現地の人々が日本で体験した本格的な抹茶ラテや抹茶スイーツの味を持ち帰り、台湾国内でも抹茶専門店や高級スイーツ店が次々と誕生しています。

中でも、大手飲料メーカー伊藤園が台湾のコンビニチェーン「7-ELEVEN」と連携し、「お〜いお茶 抹茶入りドリンク」や「抹茶プリン」「抹茶パンケーキ」など、台湾限定の抹茶商品を展開してるのです。さらに、京都の高級抹茶ブランド丸久小山園は、台北のスイーツ店と提携して、「抹茶ロールケーキ」や「抹茶フィナンシェ」など、本格派スイーツを提供しています。


台湾ならではのオリジナルスイーツとして人気を集めているのが、抹茶サンドイッチです。
たっぷりの抹茶クリームにフレッシュなイチゴやバナナを合わせ、ふわふわの白パンで包み込んだもので、日本のフルーツサンド文化をベースにしながら、抹茶の香りとフルーツの甘酸っぱさを贅沢に楽しめるデザートとして親しまれています。粉っぽさや苦味を感じさせない、洗練された仕上がりが特徴で、台湾の若い世代の間で、おしゃれなヘルシースイーツとして高い人気を誇っています。聞いているだけでも美味しそうですよね?

アジア圏における抹茶ブームは、日本ブランドの信頼感と、現地文化との融合によって、単なる一時的流行を超えた、新しい定番文化へと確実に成長しているのです。



おわりに

かつて日本国内で静かに楽しまれていた抹茶は、今や世界中で様々な形に進化し、広がりを見せています。

アメリカではウェルネスの象徴として、
ヨーロッパでは日本文化への敬意とともに、
アジアではライフスタイルに溶け込む新たなスイーツ文化として──
それぞれの地域で、抹茶は独自の魅力を持ちながら受け入れられています。

日本国内に目を向けても、茶道人口の減少が指摘される一方で、コンビニスイーツやカフェドリンクなど、よりカジュアルなかたちで抹茶に親しむ機会は確実に広がっており、また本格的なものを都心でも体験できる施設も充実してきています。

抹茶は伝統を守りながらも、時代に合わせてしなやかに生き続けているのです。

その広がりの背後には、日本の生産者やブランドが長年培ってきた品質への誇りと、文化を大切にする心が脈々と息づいています。

これからの抹茶ブームは、単なる一過性の流行ではなく、世界中の人々の暮らしに寄り添う存在へと、さらに成熟していくことでしょう。

日本が誇るこの伝統と革新の力が、未来の世代にも受け継がれていくことを願ってやみません。

パンチです

最後までご覧頂き有難うございました
抹茶ブームも国や地域によって楽しみ方が違うんですね!
私は台湾で人気の「抹茶クリームのサンドイッチ」に興味津々です!
皆さんは何かきになるものがありましたか?

ピーチです!

また読みに来てくださいね!
👉 ▶ トップページへ戻る

よかったらシェアしてください
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


このサイトは reCAPTCHA によって保護されており、Google のプライバシーポリシー および 利用規約 に適用されます。

reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次