お薦めの書籍レビューです 森下典子 著『日日是好日』|茶道が教えてくれた“気づき”そして“生き方”

茶道にまったく縁のなかった私が、森下典子先生のエッセー『日日是好日』を読み、「自ら気づく」ということの奥深さに触れました。他人と比べるのではなく、自分自身と静かに向き合う時間を持ち続けることの大切さ。茶道の美しさに触れる日々を目の当たりにした私。その心の中で生じた「気づき」そして「生き方」について、素直に綴ってみました。一人でも多くの方に共感頂けると嬉しいです。

パンチです

茶道を知らない人でも楽しめる素敵な本です
どうぞ最後までご覧くださいね!


目次

はじめに

映画『日日是好日』の存在は、以前から知っていました。茶道の先生・武田ともこ先生をモデルとした“お師匠さん”役を、樹木希林さんが演じ、彼女の女優人生の集大成・遺作となったことでも注目された作品です。実は私はまだ映画を観ていません。ですが、撮影の裏側を描いたエッセー『茶の湯の冒険』を読み、茶道という世界への興味が一層深まりました。そんな流れで、今回ようやく原作である森下典子先生の『日日是好日』を手に取ったのです。

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原作エッセー『日日是好日』の魅力

このエッセーは、派手な展開こそありませんが、日々の出来事が丁寧に綴られており、読む人の心をじんわりと満たしてくれます。お点前の所作や季節の移ろいが、言葉を通じてまるで映像のように浮かびます。何度も繰り返される“変わらない日常”が、実は“深い変化の連続”であることに気づかされる。そんな静かな気づきが、この作品には込められています。

森下先生の心の動きに共感した場面

私が本作で強く心を打たれたのは、森下先生の“人としてのありよう”が丁寧に綴られていた点です。生真面目な性格ゆえに、武田先生のお稽古での言葉を真正面から受け止めてしまい、心が弱っているときには落ち込んでしまう――そんな繊細な内面が正直に描かれています。

また、10年以上茶道を続けている中で、ひとみちゃんという女子高生の初心者があっという間に美しい所作を身につけてしまったこと、自分にはできない雪乃さんの気遣いに気づかされ、自信をなくしかけたことなども率直に語られています。

けれども最終的には、茶道とは他人と比較するものではなく、自分自身と向き合う時間であることに気づいていく。昨日の自分と今日の自分、その違いに気づけることが、何よりの喜びになるという森下先生の言葉に、私も深く共感しました。

武田先生の「教えない教え」に感銘を受けて

もうひとつ心に残ったのが、武田先生の姿勢です。先生は、お稽古の場だけでなく日常の会話においても、茶道の作法以外のことは決して教えない、という方針を貫かれていたそうです。言葉で直接伝えず、弟子が時間をかけて“自ら気づく”ことを尊重する姿勢――これは指導する立場の人間にとっては大きな葛藤を伴うものですよね。

気付いていても「グッ」とその言葉を飲み込む、実践してみようと思います。

本作では「学校教育と茶道の違い」にも触れられています。学校では正解を早く出すことが求められますが、茶道では、決められた作法の中で、自分なりの答えを、時間をかけて見出していくことが大切なのです。この対比は、現代の教育や企業文化においても大きな示唆を与えてくれるものだと私は感じました。

おわりに

私は、茶道の世界をほんの少し覗き始めたばかりの初心者です。でも、だからこそ、森下先生や武田先生の言葉がまっすぐに胸に届きました。

『日日是好日』は、ただの茶道エッセーではありません。人生の静かな指南書であり、“自分なりの答え”を探して歩き始めた人に寄り添ってくれる一冊です。映画をまだ観ていない今だからこそ、この原作の静かな力強さを、皆さんにも味わっていただきたいと思います。

森下先生の言葉――「気づくこと。一生涯、自分の成長に気付き続けること。『学び』とは、そうやって、自分を育てること。」という一節にも深く心を打たれました。茶道だけでなく、人生そのものが“気づき”の連続であり、それを受け止めていく姿勢こそが、生きることの本質なのかもしれません。

『日日是好日』は今後、多くの国で翻訳出版される予定があるそうです。この情報は、映画化の舞台裏を描いた森下先生の『茶の湯の冒険』に記されており、フィンランド、韓国、フランス、イギリス、イタリア、オーストラリアといった国々でも読まれることになるようです。

映画監督たちは、撮影に臨む前に原作を読んでおり、「お湯を注ぐ音と冷たい水を注ぐ音が違う」と森下先生が書かれていた箇所に対し、当初は「そんな筈はないだろう」と思っていたそうです。ところが、いざ現場で実際にその違いを耳にしたとき、同席したスタッフと一緒に「本当だった!」と驚愕したというエピソードが語られています。

このように、茶の湯には日常生活では我々日本人でも気づかないほどの繊細な感性が含まれています。虫の音に季節を感じる私たち日本人とは異なるといわれる異国の方々がこの作品をどのように受け取られるのか――その反応にもとても興味があります。

『日日是好日』という言葉の意味は、私にとって「たとえ雨の日であっても、気持ちが沈む出来事があったとしても、その一日を“良い日”と感じられる心の持ちようこそが大切なのだ」というメッセージに感じられます。そんな思いを、この本を読んだ世界中の方々とお茶を一緒に楽しみながら共有できたら――それは本当に素敵なことですね。

ピーチです!

映画を観たことがあるよっていう方も、
編集で泣く泣くカットになった名シーンもありますから
原作も読んでみてくださいね

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