『宇治抹茶』爆売れでピンチ?

京都新聞が2024年11月15日に報じた「『京都の宇治抹茶』爆売れでピンチ 訪日客人気で販売制限、転売目的の大量購入も」がYahooニュースで改めて12月2日に取り上げられ、多くの方々もコメントされて議論されております。

ここ2ヶ月、お茶について学ばせて頂いている1人の愛好家として、そして元生産者・経営者視点からもコメントさせて頂きたくお付き合い下さい。

パンチです

どうぞ最後まで
ご覧下さいね


目次

京都新聞の記事について

Yahooニュースで取り上げられたニュース全文は以下の通りです。

なお削除依頼が届いた場合には即座に対応します。

関係者の方々におかれましてはお手数ですがコメント欄よりご連絡賜りたく宜しくお願い致します。

京都の「宇治抹茶」爆売れでピンチ 訪日客人気で販売制限、転売目的の大量購入も 

海外でも人気が高い京都の「宇治抹茶」が、品薄になっている。急増する訪日外国人客が次々に買い求め、生産が追いつかないとして販売制限に踏み切る企業も出始めた。京都の茶問屋などは、茶道関係者や愛飲家ら長年の得意先への販売にも影響が出かねないとして苦渋の対応に迫られている。

一部商品の購入制限について」。宇治茶製造販売丸久小山園(京都府宇治市)の京都高島屋店(京都市下京区)では11月11日から、こんな表示を掲げて抹茶の缶(20、40グラム入り)の購入を1人各1個に制限している。「いろんな国の方が来られ、昼には売り切れる状態だ」と担当者は驚く。

 小山元也社長は「ここまで厳しい販売制限を行うのは初めて。当社の製品を評価いただいてありがたいのだが、心苦しい」と複雑な表情をみせる。需要が高まり始めたのは、訪日客が急回復した昨秋ごろ。同社の製品は比較的早くから輸出されていたこともあって海外での人気が高く、転売目的とみられる大量購入も一部商品で発生。SNS(交流サイト)を通じて品質の高さが海外で話題となるといった事情も重なり、引き合いが急増したという。

 ■「固定客」の販売を確保する必要

 半面、茶道や寺社関係者、茶の愛飲家ら古くからの「固定客」の販売を確保する必要もあり、今回、直営5店舗での販売制限に踏み切った。全国の小売店向けの卸売も受注量を制限している。「来年の新茶までになくなってしまっては大変。制限を解除する見通しは立たず、様子を見て判断せざるをえない」(小山俊美専務)という。

 一保堂茶舗(京都市中京区)もインターネットと店舗の両方で一部商品の販売休止や制限を実施。その他にも京都府内の数社がホームページで同様のお知らせを掲載している。

 財務省の貿易統計では、昨年の緑茶の輸出量は7579トンで、過去10年間で2・5倍に拡大。輸出額は、抹茶を含む粉末茶の需要拡大に伴って過去最高額の292億円を記録した。

■過去には中国で商標登録も

 海外では、抹茶を使ったスイーツのブームに加え、抹茶をたてて飲む本来の味わい方にも関心が広がり、より質の高い品を求める動きにつながっているとみられる。特に宇治抹茶は人気で、中国では宇治茶関連の商標が登録・出願される問題も過去に発生した。

 京都府茶協同組合(京都府宇治市)によると、「海外では手に入りにくい本場の宇治抹茶へのニーズがある」とみて、需給逼迫(ひっぱく)はしばらく続くとみる。一方で「茶園を増やしたとしても、新茶として収穫するまでに3~5年はかかる」といい、増産対応は難しい。「抹茶は賞味期限も短く買いだめは適さない。新しい商品をその都度買うようにしてほしい」と呼びかけている。

引用元:京都新聞 Yahoo ニュース


私の所感

上の新聞記事を簡単にまとめると次の通りです。

「海外からの観光客が買ってくれるのは嬉しい」

「でも茶舗は元々の固定客へ売るもの確保のため販売制限している」

「ピンチだ」

タイトルは誰が付けられたのか分かりませんが、この事態は「ピンチ」なのでしょうか?

元経営者の私にとってみたら、千載一遇の大チャンス到来時に販売制限?

残念としか思えません。

今のお茶業界は国内売上が減って困ってて次のような深刻な事態になっています。


1⃣ 茶葉生産者は平均の売上高が年間90万円という低い収入に苦しみ、特に高級茶葉農家の廃業が増えている


2⃣ 今年だけでも老舗茶舗の「今村芳翠園」や「お茶の玉宗園」が相次いで自己破産している


3⃣ 金融機関は金利引き上げの中で、老舗であっても茶業界各社に対する融資を厳しく審査する。

このままではお茶関係会社の倒産や茶葉農家の廃業は減ることはないだろうと思われます。

長い歴史ある、美しい文化を次の世代に残すのがお茶に関わる皆さんの「使命」だと思います。

日本は少子高齢化や若者のお茶離れで将来が明るくない。

だからこそ、先見の明がある先人が海外市場に活路を見出したのでしょう。

そしてようやくそのご苦労が報われて外国人に買ってもらえるようになったのです。

厳しい不況が続いた中で、高くても買ってくれる外国人のお客さんがいるという光明が見えたのです。

でも…(値上げしたら文句を言う)固定客や愛好家がいて困ってるそうです。

パンチです

「ちょっと何を言ってるか分かんないです」
って好感度高い芸人さんからの
優しい突っ込みが欲しいところです

金払いの悪い、古いお付き合いの方たちを選ぶのであれば、今までのご苦労は全て「くたびれ儲け」です。

残念ですけど、それではお茶業界は私たちの代で「おしまい」です。

嗜好品であり高尚な趣味である茶道には、経済的な自由をバックにした心豊かな愛好家こそが相応しいと思います。

茶葉農家やブレンダー、小売店など、誰かの犠牲の上に成り立つビジネスは長続きしません。

歴史ある文化を残すための投資・寄付として、値上げを当然のように受け入れる度量がある方のみ固定客や愛好家としてお残り頂きたいものです。

「外国人向け高価格と日本人向け低価格の2重価格にしたらどうですか?」という人もいます。

残念ながら…

持ち帰ることが出来るものは外国人観光客も「日本人転売ヤー」から買えば良いだけですから解決になりません。

2重価格が効果があるのは「転売が出来ない茶舗直営の飲食店でしか食べられない抹茶スイーツだけ」です。

小さくて軽くて高価な抹茶です、今のようにチョコチョコ値上げしていたら転売ヤーの思う壺ですよ。

任天堂スイッチやプレイステーション5(PS5)で転売ヤーだけボロ儲けして、品薄になってたのご存知でしょう?

その二の舞にならない手段はありますよ。

需要と供給のバランスが崩れるところまで、いったん思い切って小売価格を引き上げませんか?

1000円だったものを例えば5000円、10,000円にドンと値上げする。

そして買い手がつくまで段々と値段を下げてはどうでしょう?

支払うべき対価を支払えない方には退場頂き、転売ヤーにも退場頂ける唯一の手段だと思います。

生活必需品の「煎茶」や「ほうじ茶」ではなく、嗜好品である「宇治抹茶」です。

長い年月をかけて育まれた技術を受け継いだ生産者やブレンダーが手間暇惜しまず完成させた芸術品なのです。

需要と供給のバランスが壊れているのであれば、バランスが取れるところまで大幅値上げしてください。

茶葉農家やお茶のブレンダーの方が安心して働ける環境を整備するラストチャンスですよ。

私もお茶の初心者の1人ですが、分不相応な趣味となれば諦めて他を探します。

残念ですが、それは自然淘汰なのです。

普通のサラリーマン家庭では子供にフィギュアスケートを習わせられない事実を日本国民は受け入れてます。

それと茶道が同じになるだけです。

元々は特権階級である貴族や武士階級の間で広まった歴史ある嗜みで、日本が誇る総合文化です。

その文化の継承にあたって、それに見合った資産がある家庭でのみ受けられる教養として残る方が、歴史を紡いでこられた先人に対しても顔向けできると思います。

この千載一遇のチャンスを逃さない有能な経営者のご英断を切に望みます。

追記 2024年12月13日 転売ヤーの実態

抹茶が品薄の件、既存オールドメディアの代表格「テレビ朝日」さんも、ようやく気が付かれたようで2024年12月12日に報道がなされたようです。

この中で取り上げられていたのは外国人観光客だけでなく、直接海外転売ヤーから宇治抹茶の大量購入の引き合いが、茶屋(茶舗)や茶葉農家に続々と寄せられているとのことです。

そして定価の2倍の価格で海外で転売されていて、日本で5000円程度の商品が10000円で取引されているとのことです。

「商売としてはこの上ない幸せだけど…」とお茶を濁した経営者のコメントが紹介されていて、販売制限を心苦しく思っていると続いてます。

私の所感は相変わらず「ちょっと、何を言ってるか分かんない」です。

定価5000円のものが海外では10000円でも買い手がつくということを転売ヤー様が教えて下さっているのです。

お茶業界は厳しい経営が続いていて倒産が相次いでいるんですよ。

買ってくれるお客さんがいるんだから定価を10000円に値上げすれば良いですよね?

更に転売ヤー様が12000円で売り捌くのであれば定価を12000円にするだけでしょ。

食品とはいえ保存がある程度は出来る抹茶の待ちに待った売り手市場なのですよ!

焦らずに、ガッチリ儲けて下さいよ、と食品を扱う同業者として羨ましくも不思議な思いになります。

是非、皆さんのお考えもお聞かせください。

パンチです

最後までご覧頂き
有難うございました

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