農家は朝から晩まで仕事で忙しくて大変ですね、とよく言われます。
これは半分は正解で半分は間違っています。
主力のゴボウ収穫時期には夕方家に帰って来て仮眠を取った後、翌日の出荷のため朝まで包装作業です。
包装作業中に「寝落ち」というよりも「気絶」していたこともありました。
バブル時代の「24時間戦えますか?」というキャッチコピーを地で行く無茶な働きぶりでした。
また大きな台風が接近して来れば今後の収支計画を考えると夜も眠れません。
今回は自分への反省として「メンタルケア」について取り上げたいと思います。
個人経営農家が直面するストレスとは?
以前知り合いの医師からも「冬場の日照不足」が北欧の国々では、うつ病の原因の一つとされていると聞きました。その予防や症状の改善を期待して冬休みには積極的に地中海などの「避寒地」へバケーションに行く習慣が根付いているのも先人から伝わる知恵なのかも知れませんね。
自然の中での活動や農業などは、心身のリフレッシュやストレス軽減に効果的とされ、うつ病の症状改善にも期待されているそうです。
このように、うつ病の治療法として考えられている農業ですが、日本において個人経営の農家は精神的ストレスに見舞われることが多いです。
サラリーマンが抱えるストレスと同様に、そして農家、個人事業主特有のものもあったりしました。
その代表的なものを以下の通り紹介しますね。
経済的な不安定さ
- 収入の不安定さ: 農業の中で高収益と言われる「トマト」や「イチゴ」の施設栽培農家でも1人250万円の売上があれば合格というのが農家の現実です。更に農作物の価格や需要に左右されるため、収入が安定しないことが多いです。市場価格の変動や自然災害によって収入が激減することもあり、個人の感想ですが大きな夢を持って就農した人ほど精神的に参ることが多いようです。
- 機械設備投資の負担: 高額な機械設備の購入や突発的な修繕費が経済的なプレッシャーとなります。特に新規就農者は融資を受けることが多く、その返済がプレッシャーとなりストレスの要因となります。
身体的な負担
- 長時間労働: 収穫期には長時間労働が必要で、体力的な負担が大きいです。肉体労働が多く、身体的な疲労が蓄積しやすいです。デスクワークを長年続けていた方には特に最初の数か月は我慢の連続だと思います。
- 不定期な休日: 天候や作物の成長に左右されるため、休日が不定期で休息が取りにくいことがあります。特に新規就農者が休むと揶揄する地元民もいるんです。その目が気になると、更に休みにくくなるというケースもありました。
自然災害や気候変動
- 自然災害のリスク: 雨不足や洪水・台風・地震などの自然災害によって農作物が被害を受けることがあり、場合によっては全滅し、翌シーズン以降にも影響が残る大きな損失となります。
- 気候変動の影響: 天候不順によって収穫期が遅れたり、影響が大きいと作物の品質が低下したり、収穫できなかったりすることがあります。私はこれが理由で離農しました。
孤独感
- 孤立感: 農場での作業は基本的に一人で行うことが多く、孤独感を感じることがあります。特に都市部から離れた場所に住んでいる場合、コミュニティが少なく孤立感が増します。
家族とのバランス
- 家族との時間の不足: 24時間体制での仕事が多く、家族との時間が十分に取れないことがあります。これが家庭内不和につながることもあります。また経済的な困窮から状態が悪化するケースもありました。
その他のストレス
- 人間関係のストレス: 農業特有の人間関係(取引先、地域の人々など)もストレスの要因となることがあります。農家における「隣人トラブル」は「人事異動」がないだけに厄介なんですよ。
メンタルケアの自己採点をしてみましょう!
健康な心身を維持するための様々なケアについて、一緒に自己採点してみませんか?
ストレス発散方法を見つける(満点:20点)
- 自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう!以下のような楽しみがありますか?
- 好きな食べ物を楽しむ(配点:7点満点)
- 映画やドラマを観る(配点:7点満点)
- 友人や家族と過ごす時間を作る(配点:6点満点)
- 私の診断結果 → 4点/20点です!頑張りましょう!
- 自営農家の収入は非常に低く常に将来に対して不安感を覚えていたため、食事は畑でその時期に収穫できるものや知り合いの農家から分けてもらった野菜などで済ませる日も多かったですね(3点/7点)
- 映画はNHK-BSでマイケル・J・フォックス主演の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」やウーピー・ゴールドバーグ主演の「天使にラブソングを」を見るくらいで、気分転換に映画館に行ったりはありませんでした(1点/7点)
- 仕事関係の知人以外との会食や外出は避けがちになってしまい、閉塞感を感じることもありました(0点/6点)
生活習慣を健康的に改善する(満点:20点)
- 十分な睡眠をとる(配点:10点)
- 適度な運動をする(配点:10点)
- 私の診断結果 → 6点/20点です!頑張りましょう!
- 出荷時期には十分な睡眠をとることは出来ていませんでしたね(5点/10点)
- 仕事以外で体を動かすことはなく、雨天で仕事が出来ない日は家でゴロゴロしていました(1点/10点)
興味のあることを生活に取り入れる(配点:20点)
- 読書を楽しんでますか?(配点:7点)
- 音楽鑑賞やカラオケを楽しんでますか?(配点:7点)
- ガーデニングを楽しんでますか?(配点:6点)
- 私の診断結果 → 0点/20点です!頑張りましょう!
- 読書も音楽鑑賞もガーデニングもやっておらず、農業が仕事で趣味という感じで、公私の切替は出来ていませんでしたね(0点/20点)
リラクゼーション法を学ぶ(配点:20点)
- 瞑想やアロマセラピー、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れる(配点:20点)
- 私の診断結果 → 0点/20点です!頑張りましょう!
- 瞑想もアロマやヨガなどで心を落ち着かせることもありませんでした
笑う機会を意図的に増やす(配点:20点)
- コメディ映画やお笑い番組を日常的に観ることを習慣にする(配点:10点)
- 友人と定期的に楽しい時間を過ごす機会を設ける(配点:10点)
- 私の診断結果 → 5点/20点です!頑張りましょう!
- コメディ映画はジム・キャリー主演の「マスク」を何度も見てました。お笑い番組は年末の「ガキの使いスペシャル」を見てたぐらいでした(5点/10点)。
- 仕事100%モードだったので、友人と定期的に会うということはできなかったです(0点/10点)
独自に点数配分した結果、自営農家時代の点数は14点/100点という散々な結果でした。
予想はしていましたがあまりにも酷いですね…。振り返れば自営農家時代には仕事場から家に戻ると夕食の支度をしながら350mlのビールを3本空けて、食事しながら更に3本、合計6本を毎日飲んで、仮眠をとってました。タバコは普通1日20本で、多い日は1日30本程度吸ってました。
私は40歳で脱サラ後に、50歳で離農して、再度サラリーマンに復職しました。
その結果、自己採点結果は…個人経営農家時代 14点→現在 70点に改善しました。
正直、今の収入は大手製薬メーカー勤務時代の半分にも満たないのですが、安定した収入があることが私にとってはメンタルケア上、大きな改善ポイントとなっているようです。
更にオンラインサロンでの家計管理や資産運用を共に研鑽するスタイルがフィットしているのが大きいですね。先輩会員さんたちにも温かく支援して頂いているお陰で、こうしてライターとして皆さんに記事を紹介できてますから、仕事場以外での仲間づくりは大事ですね。
こうしてストレス軽減できたお陰で「禁煙」と「禁酒」にも成功しました。
フリーランスへの転身には自己管理能力としてメンタルケアが大事な要素ですね。
皆さんが新規就農に憧れる理由の一つがストレス社会からの脱出であるならば、個人経営農家は必ずしも全ての人にとって楽園とは限らないということをご留意ください。
私は既に就農されている方には売上アップなどに役立つであろう情報を提供してます。
そして新規就農を検討されている方には「農業は生活の拠り所としてではなく、趣味として適度な距離感を保つ」ことをお薦めしております。
退職を機に新規就農をご検討の皆さんには、1ヶ月間、格安の費用でご家族と海外でのプチ移住暮らしで就農体験もできる「ワークアウェイ」をご紹介しております。
こちらの記事にまとめていますので、どうぞご覧ください。
最後までご覧頂き有難うございました。皆さんのお役に立てると嬉しいです。
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