近年、スルメイカの漁獲量は大幅に減少しております。2000年には約33万トンあった水揚げ量が、2018年には約4万7千トンと、約20年で8分の1までに減少しています。
漁獲量が過去最低となったスルメイカ、価格がマグロの赤身よりも高くなるという現象が起こっています。野菜の生産者にとっても、このニュースは非常に重要です。
引用:weathernews jp
7月27日付の日経電子版の記事によると、原因は黒潮蛇行という異常気象で、日本近海を回遊するスルメイカが外洋へ出て行っているという状況です。
燃料も高騰している中で、漁業関係者の皆さんも大変なことだと思います。
この影響は来年以降も続く可能性があり、サンマ、イカナゴ、シシャモ等に続いて、以前は庶民的な食材だったものが高級品となりつつあります。
ジャガイモ生産者の皆さんは、今こそ「プチ贅沢」を提案してみてはいかがでしょうか?
スルメイカの価格推移
日本の豊洲市場では、取扱数量が2019年の729.1トンから2023年には191.4トンと73.8%の大幅な減少となっており価格も上昇しています。
1990年代から2010年代初めまでのスルメイカの平均価格は、1キロあたり500~800円程度でした。しかし、漁獲量の減少とともに価格は徐々に上昇し、2020年代には大幅に高騰しており、2023年の平均価格は1,386円(1.7~2.7倍)でした。
価格上昇の主な原因は、漁獲量の減少に加えて、需要の増加、違法操業などが挙げられます。
野菜生産者への影響
実は野菜の生産者にとっても、このニュースは非常に重要です。
昔の商店街では八百屋と魚屋は「一蓮托生」の関係であり、今の時代でもその関係に変わりはありません。
例えば、スーパーで秋の味覚の「生サンマ」を買うときには「大根おろし」や「すだち」が必要ですし、「タイ」や「ブリ」を買うときには「生姜」や「大根」、「ゴボウ」が欠かせません。
野菜生産者は魚の旬の時期を把握し、その情報を基に野菜とその品種を選定して出荷できれば売上が確保できます。
私が個人経営の農家をしていた頃、美味しいジャガイモの代表品種「キタアカリ」を出荷していました。このジャガイモは、冷蔵庫で1ヶ月以上寝かせることで、適度に水分が飛び、格段に美味しくなります。
北海道では、「ジャガバター + イカの塩辛」という定番の食べ方があり、この情報をポップにして出荷したところ、キタアカリ1個100円の値段で毎日完売していました。
不漁・高値とは言ってもスルメイカは今が一番おいしい「旬」の時期です。
残念ながら私たちが資源保護のために出来ることには限界があります。
だからこそ貴重な食材を大事に消費してもらうことに注力するほかないと思います。
夏野菜と一緒に美味しく召し上がって頂けるPRは必要だと思いますがいかがでしょうか。
スルメイカと夏野菜の家庭料理
夏に旬を迎える野菜とスルメイカを使った料理は、新鮮な食材の風味を最大限に引き立てます。以下に、いくつかのおすすめを紹介します。
- スルメイカと夏野菜の天ぷら:スルメイカと旬の夏野菜(ズッキーニ、なす、ピーマンなど)を使った天ぷらは、サクサクとした食感と素材の風味が楽しめます。特に、スルメイカの天ぷらはプリプリとした食感が特徴です。
- スルメイカと夏野菜のカレー:スルメイカと夏の代表的な野菜であるトマトを使ったカレーは、スルメイカの旨味とトマトの酸味が絶妙にマッチします。さらに、オクラやナスをトッピングすると、見た目が一層爽やかになります。
- スルメイカと夏野菜の酢の物:スルメイカと夏野菜(きゅうり、トマトなど)を使った酢の物は、さっぱりとした味わいで暑い夏にぴったりです。スルメイカは薄切りにし、野菜と一緒に酢で和えます。
- スルメイカとオクラの和え物:スルメイカとオクラを使った和え物は、ねばねばとした食感が特徴で、栄養価も高い一品です。スルメイカは細切りにし、オクラと一緒にごま油や醤油で和えます。
貴重な旬の食材「スルメイカ」、美味しく召し上がってもらえるようにPRしませんか。
イカの旨味を引き立てる郷土料理
スルメイカだけではなく、秋~冬に旬を迎えるヤリイカも海水温度上昇などにより、その分布や漁獲量に影響が出ているようです。各地域の風土や歴史を感じることができるイカ料理を紹介します。
北海道の郷土料理
- イカシュウマイ: イカの足(げそ)を叩いてミンチにし、シュウマイの形にして蒸し上げた料理。
- イカそうめん: イカの胴を細く切り、そうめんのようにして食べる料理。
- 松前漬け: 松前藩が由来の一品で、イカを含む海鮮を使った漬物。
- イカの塩辛: 北海道ではイカの塩辛をジャガイモに乗せて食べる習慣があります。
青森県の郷土料理
- イカメンチ: 津軽地方に伝わる家庭料理で、イカを刺身にしたときに残る「ゲソ」を叩いてミンチにして作られます。
佐賀県のイカを使った郷土料理
- イカシュウマイ: イカの足(げそ)を叩いてミンチにし、シュウマイの形にして蒸し上げた料理。
- 呼子いかの活きづくり: 佐賀県唐津市呼子の名産品で、新鮮なイカを刺身にして食べます。お刺身で食べた後、残った部分は天ぷらなどで食べるのが一般的です。
富山県の郷土料理
- 黒づくり: スルメイカの身を細かく切り、イカスミとともに熟成させた塩辛の一種です。黒く光る独特の見た目が特徴で、驚く人も多い珍味とされています。江戸時代には加賀藩主が参勤交代の際に将軍家に献上したという文書も残されています。
この夏休みに帰省や旅行で各地を訪れた際には、是非郷土料理も楽しんできてくださいね。
皆さんのお役に立てたら嬉しい限りです。
今後とも宜しくお願いします。
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